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この勉強では算数は伸びない
抽象的・論理的思考力をトレーニングしたからといって、それがすぐに算数の成績に反映されるかというと疑わしいことがわかっています。
算数の成績を上げたいなら、学校の教科書や計算ドリルをコツコツこなすという結局は地味なやり方に行きつくのかもしれません。
心理学者であるジェームズ・R・フリン氏の研究によると、
レーヴン色彩マトリックス検査の成績向上とWISCにおける算数項目の結果には関連性がないことがわかっています。
以下、これらについてもう少し詳しく取り上げます。
解説
抽象的思考力や論理的思考力の学習
人生を生きていく上で、抽象的な概念を理解する能力や論理的思考力は大切です。
しかし、それが学校の成績にすぐ影響されるかというと早合点になります。
例えば、幾何学的なパズルや知育を使った勉強は、計算ドリルと解くより楽しいし「おしゃれな」学習に見えます。
そういう塾があると、なんだか先進的で効果的なような気がします。
しかし、本当にそれに効果があるのでしょうか?
繰り返しになりますが、抽象的な概念を理解する能力や論理的思考力は人生において大切と思います。
しかし、例えば学校の成績向上や、日々の授業の理解度も意識して学習する場合、本当にそのパズルや知育を使った学習は今効果的なのでしょうか?
フリン効果とは?
人類のIQ(知能指数)に関して興味深い所見として、フリン効果があります。
フリン効果とは、人類のIQが年々上昇しているという現象のことです。
この現象を発見・研究しているのが冒頭の心理学者ジェームズ・R・フリン氏になります。
フリン氏によると、
IQに関してレーヴン色彩マトリックス検査の結果は向上しているが、WISCにおける算数項目はほぼ横ばいであることがわかっています。
レーヴン色彩マトリックス検査(RCPM)とは?
レーヴン色彩マトリックス検査とは、部が欠如した図(模様)を見て、それを補う模様はどれか選択肢から選んでもらう簡易的な知能検査です。
図を見てその法則性を理解し、欠如部分を予想する。
まさに抽象的概念や論理的思考力が必要になる課題です。
RCPMと算数
レーヴン色彩マトリックス検査の人類の成績は、年々上昇傾向にあるようです。
一方、学校の授業にもっと関わりそうなWISC(知能検査)の算数項目は横ばいです。
このように、知的な課題が必ずしも学校の勉強の理解度に貢献できるかというと検証の余地があることがわかります。