1. 体罰は有効?
教育においても育児においてもしばしば議論の的となる体罰。
体罰は教育に有効なのでしょうか?悪影響なのでしょうか?
教育学の研究によると、
体罰それ自体より、子供や親が体罰をどのように位置付けているかで意味が変わるという見解があります。
以下、もう少し詳しく。
2. 体罰と子供の攻撃性
子供の怪我を負わせるような極端な体罰はもちろん好ましくありません。
そういうものではなくて、
例えば子供が悪いことをしたときに軽くお尻をはたくような体罰。
体罰が禁止されている昨今ですが、
体罰は実際のところ教育学や心理学的にはどうなのでしょう?
デューク大学のケネス・ドッジ氏によると、
アメリカの親の90%は子育ての中で一度は体罰の経験があるそうです。
また、
体罰の頻度と子供の攻撃性には相関が見られました。
つまり、
体罰を振るわれた子供ほど他人に暴力をふるう可能性があるという仮説が立つわけです。
しかしこれは1つの文化圏での調査なので結論づけるには不十分。
ということで、ドッジ氏はさらに調査範囲を広げました。
3. その体罰の意味合いは?
体罰の頻度や捉え方は国や人種、文化圏によって微妙に差があります。
親が子供に体罰をすることで、子供の攻撃性に影響がある場合もあるしない場合もあります。
傾向として、
体罰が「本当にいけないことをしたときの、非常に特殊なおしおき」と子供が理解している場合、体罰をふるわれると子供の攻撃性は増加します。
一方で、
体罰が日常的な通過儀礼で、そこに重みを感じていない場合は子供の攻撃性に影響はありません。
4. まとめ
親に暴力を振るわれた子供は子供自身も暴力的になる?
いささか安直な考えですが、その真偽は気になるものです。
結論としては、
子供が体罰をどのように理解しているかで意味が変わる
という条件付きの結論に至ります。
体罰が本当に非日常なタブーなものであるなら、それを受けた子供はショックで、攻撃性にも影響が出てきます。
反対に体罰が指導の一環として浸透している場合はその限りではありません。
いずれにせよ、
子供が怪我をするような体罰はいけませんし、体罰で物事を解決するような教育方針はできるだけとらない方が無難ではありますね。
そんな当たり前の結論で今日は締めたいと思います。
5. その他の記事
6. 参考資料
ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン『間違いだらけの子育て』インターシフト、2011年