育児・教育コラム

教育格差と学校・近代教育の皮肉

公開日:2024年8月5日


 
 

教育格差と学校

 親の学歴と子供の学歴が関連することは、社会格差・教育格差の観点から度々指摘されます。

 つまり親の社会階層(学歴や地位)が高いほど、子供の環境が恵まれ学歴や学業成績に影響が生じます。
 このような状況の中で格差が広がっていくことが指摘されています。

 学校教育が格差を解消しないどころか、むしろ格差の再生産を促している可能性は興味深い議論と言えるでしょう。

 
 
 

解説

学校教育と格差

 誰もが学校に通って勉強をすることができ、本人の努力や成果が評価される。
 個人の頑張りが報われる社会。

 「教育機会の均等」は、子供や社会の格差を解消するものだと考えられていました。

 しかしながら、教育機会を均等に与えても、その格差が必ずしも解消しないことが指摘されています。

 親の学歴が高いと、子供の学業成績や学歴も高い傾向にあると言われています。

 格差が生じているまま子供達が学校で勉強をすることで、その格差がさらに助長され再生産に至っていると考えることもできます。

 
 

親の社会階層と子供への影響

 日本子ども社会学会の論文によると、親の学歴と子供の学習時間、躾の程度などにはあまり差がなかったようです。

 一方で、学歴の高い親の子供は学歴の高さを当たり前に求められる「進学期待」があることが指摘されています。

 つまり大学に行った親は子供が大学に行くことも当たり前と思いますし、そういう環境で育てば子供も自分が大学に行くことは当たり前と感じます。結果として学業成績が高くなるという状態が発生します

 これは当然と言えば当然ですが、社会の格差を生む残酷な事実とも言えるでしょう。
 子供の成績が良いのはなぜかと言われれば、躾をしっかりしたとか勉強時間が長いからとかではなく、「親がそういう価値観だから」という身も蓋もない要因になってしまうからです。

 
 
 

参考資料

小針誠(2002)『小・中学生の学業成績と学校外学習時間に関する一考察 社会階層を媒体として』(日本子ども社会学会)2024年4月21日検索

『子どもの生活時間に関する調査研究』(一般財団法人 こども未来財団)2024年4月21日検索

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