誤学習とは?
誤学習とは平たく言うと、好ましくない習慣が身についてしまっている状況を言います。
特に他者とのコミュニケーションや言動について言うことが多いです。
例えば幼児に大人が叱ったような言葉かけをすると、「ごめんなさい」と謝るのではなく物を投げたり叩いたりする。
こういった状況も誤学習の1つと考えられます。
理性的な態度や言葉でコミュニケーションをとるのではなく、相手を困らせるような行動でその場をやり過ごそうとする。
このような背景には誤学習が関わっている可能性があります。
誤学習の解説
子育てにおいて誤学習という概念は非常に重要な概念です。
なぜなら誤学習を未然に防ぐことが、子供の成長を促し、かつ子育てをいい意味で楽にできるからです。
誤学習とは間違った因果関係を覚えてしまっていると考えることもできます。
例えば子供とお母さんが買い物に行きます。
子供は欲しいおもちゃがあります。
けれどお母さんは今日は食材を買いに来ただけなのでおもちゃは買えないと言います。
すると子供がその場に座り込んで泣き叫びます。
お母さんは根負けしてしまい、おもちゃを買ってあげます。
このとき、「泣き叫ぶ」という過程によって子供は「おもちゃを買ってもらう」という結果を獲得します。
こうして「要求を通すために泣き叫ぶ」という習慣が形成されていきます。
本来であれば、その場で我慢するなりもう少し理性的に話し合って解決するなりが必要になります。
しかし子供にはまだそういった自制心や話し合いのスキルがありません。
誤学習はコミュニケーションや言語表現力が未熟な時期の子育てに起こりやすく、誤学習への対処がその後の子供の自制心やコミュニケーション能力に影響してきます。
誤学習への対応
誤学習への対応方法はシンプルで、子供の間違った因果関係に大人が根負けしないことです。
そのためのポイントは3つあります。
1つ目は大人が一貫した基準を持てることです。
子供と事前にルールを共有し、そのルールを守る。
「今日はおもちゃを買わない」と約束したら買わない。
まずは大人がブレないという姿勢を持ちます。
2つ目は誤学習には無反応を基本にします。
子供にとって「叱る」や「怒鳴る」は必ずしも誤学習を減らす方法にはなりません。
例えば授業中に騒いでいる子がいて先生が大声で注意しても、それに傷つく子もいれば心のどこかで「かまってもらえた」と思う子もいます。
自分に注目してもらえるというのはそれはそれで子供にとって行動を繰り返すモチベーションになってしまいます。
誤学習に対しては無視するか、諭すように冷静に言う程度にとどめます。
3つ目は子供のコンディションを見ることです。
人間は自制心に限りがあります。
疲労やストレスが溜まっているときはそうでないときより理性的な行動はとれないものです。
疲労やストレスが溜まっているときに誤学習をしないように働きかけてもなかなかうまくいかないものです。
けれどだからといっておもちゃを買ってあげれば一貫性がなくなってしまいます。
先ほどの例で言えば、子供が理性的な判断が難しい体調ならそもそも誘惑のある場所に行かないように努めます。
おわりに
誤学習の対応は言うは易く行うは難しです。
しかしながら、誤学習への対応は子育てにおける先行投資です。
今を踏ん張ることで、先の子育てがぐっと楽になります。
おもちゃを買ってもらうために泣き叫ぶことが完全に習慣化してしまえば、それを変えることは本当に大変です。
しかしそれが習慣化する前に軌道修正できれば、結果としての労力は少なくて済みます。
誤学習は古風な言い方をすれば「躾」の1つとも言えますが、
子育てにおいて躾を後回しにしないことは非常に大切です。