「ごほうび」は効果的?
子供のやる気を出させるために、ご褒美をあげることがありますね。
実際のところ、ご褒美って効果があるのでしょうか?
お子さんの性格や状況にもよるのでしょうが、心理学的には
ご褒美をあげても人のやる気は上がるどころかむしろ下がると言われています。
以下、もう少し詳しく。
ご褒美とやる気の関係
スタンフォード大学の心理学者マーク・ペッパーらの実験に以下のようなものがあります。
子供達を2つのグループに分けて絵を描いてもらいます。
一方のグループには「上手に描けたら金メダルをあげる」と伝えました。
つまりご褒美ありのグループですね。
他方のグループには何も伝えませんでした。
つまりご褒美なしのグループです。
絵を描く様子を観察すると、
ご褒美のないグループの方が絵を描くことに熱中し、作業する時間も長かったそうです。
一般的に、ご褒美というものは「何かを頑張った」「やりたくないことをやれた」ときにもらうことが多いですね。
ご褒美を渡すことで、「この作業(絵を描くこと)は楽しくない作業なんじゃないか?」という感覚を子供達が無意識に持ってしまったわけですね。
楽しことと楽しくないこととご褒美
先ほどの実験の場合、絵を描くということは子供にとってある意味で娯楽でした。
つまり、
それ自体が楽しいことにご褒美を加えてしまうと、それが楽しくなくなってしまうというのが人間の心理のようです。
では、
楽しくないことをさせたいときに、ご褒美は効果的なのでしょうか?
心理学者のリチャードワイズマンの実験によると、
大人にゴミ拾いをしてもらうときに、グループによってお礼の金額を変えました。
すると礼金が少なかったグループのほうがゴミ拾いを楽しいと感じた人が多かったそうです。
嫌な仕事でも、お金が多いと「こんなにお金が出るということはこれは嫌な仕事なんだ」と考えてしまうのかもしれません。
おわりに
ご褒美というものは必ずしも人のモチベーションを上げることにはならないようです。
特にその作業自体がその子の「好きなこと」であれば、下手にご褒美を上げると打算的になりやる気を削ぐ可能性があります。
一方、その作業自体が「したくないこと」の場合はどうしましょう。
その作業が「したくないこと」の場合は、お礼や賞賛の気持ちが伝わる程度のちょっとしたご褒美にとどめます。
あまりに大きなご褒美や、やはり作業に対する嫌悪感を促進してしまうからです。
とまあ、いろいろ書きましたが、
子供を褒めるときはまずは物より先に感謝や賞賛といった言葉や笑顔を子供に向けたいものですね。