人間の能力の一つにIQ(知能指数)があります。
私達はより良い人生を生きたいと願います。
より良く生きるためには何らかの能力を高めなければと思います。
幸せに生きるために「高い能力」が必要かという議論はまた別にするとして、
私達はより成長するため、より良く生きるためにはどんな能力を高めることが効果的なのでしょうか?
「幸せ」とは人によって様々です。
「幸せ」というものを一つの定義でまとめることは難しい。
けれど、「幸せ」を研究する上では何か目安が必要なのも事実です。
海外で人の幸福と能力の関係を調べる際に、
便宜的に「より良い人生」の目安を設けることがあります。
海外の研究でよく用いられる「より良い人生」の目安は、
・犯罪歴がない
・定職に就けている
・収入がより多い
・家族を持てる
・健康である
などです。
これらが幸せの必須条件というわけではありませんが、これらがあると幸せの手助けになることは頷けます。
ではこのような「より良い人生」に近づくためにはどんな能力が必要でしょう?
知能が高いとより高収入の仕事に就ける気がします。
知能が高いとより充実した人間関係が築ける気がします。
けれど本当に知能の高さはより良い人生に直結するでしょうか?
海外の調査では、
高校を卒業した人と、ペーパー試験などで高校卒業認定だけもらった人ではIQに大差はありませんが年収に差があるようです。
IQ以外の要素が人生には大きく影響しているようです。
ペリー就学前プロジェクトという海外の取り組みがあります。
ペリープレスクールプロジェクトとも言われます。
1960年代にアメリカで行われた学習環境が恵まれない子供達のためのプロジェクトです。
就学前、つまり小学校に上がる前のお子さん達を対象にした取り組みです。
このプログラムに参加したお子さんは2つの能力が向上しました。
1つはIQ、つまり認知的能力。そしてもう一つは集団行動を上手くとれたり学習意欲が高かったりといった非認知的な能力。
しかし、お子さん達の向上したIQは4年程度元に戻ってしまいました。
一方、非認知的能力はその後も維持されたそうです。
結果としてペリー就学前プロジェクトはさきほどあげた「より良い人生」の目安で見ると良好な結果を生みました。
人間の能力としてIQは大切なものですが、それだけでは人生をより良くはできません。
統計的にも、IQよりも非認知的能力を鍛えたほうが効果があるという見解は多々あります。
非認知的な能力とはIQとは異なり数値化しにくい能力です。
非認知的な能力とは自制心であったり他人に親切にできる力であったり自ら勉強しようとできる姿勢であったりします。
これらを高めることが人生にとっては有意義と言えるでしょう。
ゆえに、非認知的発達を促すような子育てが望ましいことも考えられます。
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