言葉のリハビリを行う仕事である言語聴覚士。
英語の頭文字をとってSTと呼ばれたりもします。
STは普通に「エスティー」と読みます。
一口に言語聴覚士といっても扱う分野は広く、自分がどの分野に就職するかで対象の患者さんもすることも変わってきます。
言語聴覚士の分野の一つに小児があります。
文字通り子供さんを対象にする分野ですね。
今日は小児STについて見ていきます。
小児のSTはどんな疾患の人をみるのでしょう?
主になるのは、
自閉症、脳性麻痺、その他の先天的な疾患、言語発達遅滞、構音障害、吃音などです。
自閉症とは昨今の言葉で言うところの「自閉症スペクトラム障害」のことです。
それぞれについては以下をご参照。
ちなみに「その他の先天的な疾患」とはダウン症などがあります。
言語発達遅滞とは平たく言うと知的障害のことで、言葉の遅れのあるお子さんということです。
小児分野のSTはどんなことをするのでしょう?
以下、主なものをあげます。
自閉症などの発達障害の方に対する言語訓練やコミュニケーション訓練。
脳性麻痺の方に対するコミュニケーション訓練や摂食嚥下訓練。
構音障害の方に対する構音訓練。
細かくあげればもっとあるでしょうが、だいたいはこのような感じです。
さて、小児のSTになるにはそういう場所に就職しないといけないわけです。
小児STは主に、病院や障害者施設、療育機関などに勤めます。
病院はわかりやすいですね。小児科です。
小児科の場合は発達障害や構音障害のお子さんが多いでしょう。
障害者施設では脳性麻痺や先天性疾患が主になるでしょう。
ただし障害者施設と小児科が併設されている場合は発達障害も対象になるでしょう。
療育機関は放課後デイサービスや通園施設があります。
発達障害のお子さんが主な対象となるでしょう。
現実的な話としてよく言われるのが、「小児分野は給料が安い」というのがあります。
実際のところ、
STにおいて小児分野は成人分野に比べて給料は安いことが多いです。
ただしここで考慮しないといけないのが、
成人分野に比べて小児分野は医療監査がゆるく、雑務が少ないです。
そのため小児分野は成人分野より労働環境が良いことが多いです。
もちろん、残業で教材作りに追われるような職場もありますから、結局はその職場次第ではあります。
ただし一般的な傾向としては
「忙しいけどSTの中では給料がいい成人分野」と
「給料は安いけど、福利厚生がいいところが多い小児分野」といった感じでしょうか。
実際、STの中で小児分野ってどんな感じなのでしょう?
まず小児分野はST中では少数派の分野です。
また、STにおいて小児分野と成人分野はすることがかなり違っていて、
同じSTでも小児のSTは成人分野のことが全然わからないし成人分野のSTは小児のことは全然わからないものです。
ですのでどっちが偉いとかそういう認識はなく、どっちが高度なことをやっているかとかの認識もなく、互いの分野を尊重し合っている感じではないでしょうか。
小児STの将来性ってどんな感じでしょう?
まず原則として、
成人だろうと小児だろうとSTは診療報酬による医療行為で利益を出します。
細かい区分はありますが、おおざっぱにいえば稼ぎ方は同じなわけです。
そう考えると、どちらかの分野だけが急になくなるということはないでしょう。
また、昨今は医療費の増大により診療報酬が削られています。
しかしながら高齢の方を対象にしたリハビリに比べると、子供を対象にしたリハビリはその影響が遅い。
「自閉症」「発達障害」といった言葉も社会的に以前より認知されてニーズも増えています。
まだしばらくは、
STの小児分野は安定した仕事であると言えそうです。
小児STというのは世の中の仕事全体で見たらどちらかというとニッチな仕事です。
しかしながら発達障害や早期教育の流れからその存在は少しずつ認知されつつあります。
子供に関わる仕事は教師や保育士など様々ですが、
小児STはそれよりもさらに分野を限定して専門的になった仕事と言えるでしょう。
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