近年、耳にすることが多い発達障害という言葉と従来から耳にする知的障害という言葉ですが、これらの違いはなんでしょう?
わかるようでわからない2つの用語の違いについて考えてみたいと思います。
知的障害とは文字通り知的機能に障害がある状態のこと指します。
もう少し細かく書くと、
・一般と比べて、知的機能に制約がある。
・社会生活に支障が出ている。
・先天的(生まれつき)である。
以上の点が挙げられます。
しかしながら知的障害の明確な数値や法律はありません。
これは差別的な観点や知的障害者の何を社会が支援するのかで基準が変わるためです。
ですから極論を言えば、知能が高くなくても、
本人や周囲が困っておらず役所に申請もしなければその人に知的障害という診断はありません。
ですがあえて知的障害の客観的な基準を考えるなら、知能指数(IQ)が参考になります。
知的障害の診断基準は自治体により微妙に異なりますが、
おおむね知能指数(IQ)が70未満が対象になります。
発達障害とは広汎性発達障害(PDD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)・学習障害(LD)の3つの総称です。
補足記事:発達障害とは?
発達障害の場合、知的機能の低さとは別のところでコミュニケーション能力や集中力、学習能力に支障が出てきます。
知的障害と発達障害の共通点は、
・先天的なものであること
(育て方や事故などによる後天的なものではない)
・日常生活に支障が出ている
(学校の勉強についていけない。援助なしでは自立した生活を送れないなど)
の2点が挙げられます。
さて、双方の違いですが、
知的障害の場合は知的機能全体に遅れが見られます。
例えばしゃべったり論理的な説明をする能力は5歳相当なら読み書きも5歳相当に近い能力。関連して人との接し方もその傾向が見られる。などです。
誰しもがそうであるように、得意・不得意の差はもちろんありますが、
その程度はあくまで個人差の範囲内で不自然・顕著なものではありません。
しかしながら、
知的機能が低いというだけでは説明できないコミュニケーション能力・集中力・学習能力の低さが見られる場合があります。
このような場合が発達障害です。
難解なパズルを瞬時に解いてしまうのに、
一方で人と目を合わせたりしゃべることができない。
問題の解き方を理解してはいるが、
年相応とは思えないほど集中できずすぐに席を立ってしまう。
先生の説明は複雑なものでもすぐに理解できるのに、
簡単な文章が読めない。
このように発達障害の場合、能力に不自然な凸凹が見られます。
知的障害と発達障害は合併する場合があります。
ですので、
知的障害の人は発達障害の要素はない。
発達障害だから知的には遅れはない。
などといったことはありません。