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発達障害児がさくらんぼ計算をできないときは?
さくらんぼ計算はあくまで「工夫」の1つなので、必ずしもさくらんぼ計算という名称・手法にこだわる必要はないかと思います。
ただし、さくらんぼ計算が意図する数の分解・合成という概念の理解を子供がきちんと押さえているかは見てあげる必要はあると考えます。
さくらんぼ計算は大きな数・複雑な計算になればなるほど必要な、「数の分解・合成」の概念をわかりやすくする意図があります。
解説
さくらんぼ計算ができない発達障害児には?
発達障害児にの中にはさくらんぼ計算が苦手・できない子が時折います。
その理由は様々です。
単純に数概念が身についていない子もいれば、自分のやり方に固執するというケースもあります。
また学習障害などが背景でそもそも文字や数字を読む・書くという行為が苦手な子もいます。
いずれにせよ、単にさくらんぼ計算を強いるのではなく、その子に合わせた対応が必要と考えられます。
さくらんぼ計算は必要か?
そもそも、さくらんぼ計算は「数の分解・合成」の概念を意識した学習方法です。
例えば「118+72」という計算を見たとき、先に2を足して「120+70」という計算をしている人は少なくないでしょう。
一旦10のまとまりを作ったほうが簡単ですし、計算ミスも減るからです。
このような計算の工夫には、「数の分解・合成」の概念が役立っています。
つまり先ほどの例で言うと、「10は8と2である」ということがわかるということです。
子供達が算数につまづく場合、この「数の分解・合成」の概念が未熟なケースが少なくありません。
さくらんぼ計算はこういった苦手さに先手を打つ意味もあります。
さくらんぼ計算をしなくても計算ができる子
発達障害児に限らず、子供達の中にはさくらんぼ計算をしなくてもすでに計算ができる子がいます。
こういった子やその親はさくらんぼ計算を面倒に感じることがあるかもしれません。
しかしながら、この場合はその子が本当にさくらんぼ計算が意図する数概念を理解できているのかを見極める必要があります。
数概念の発達における考え方の1つに、McCloskeyら算数に関する認知モデルというものがあります。
McCloskeyらは、小さな数の計算(例えば答えが20程度)は暗記に近く、それより大きな計算とは脳の処理過程が異なるという仮説を立てています。
つまり、その子が計算をできている場合にそれが暗記に近いものなのか、きちんと数概念を理解した上で解いているのかは見極めてあげる必要があります。
補足解説
さくらんぼ計算とは?
算数に関する認知モデル(McCloskeyら)とは?
参考資料
『小学1年生における計算学習の現状と課題 : 1年生の算数指導に関わった経験のある教員への質問紙調査と1年生への調査を通して』(植草学園短期大学)2022年6月3日検索
『数表記・数詞・具体物の三項関係に関する論考』(京都女子大学)2022年06月03日検索
『小学校学習指導要領解説算数編(後半)第3章 各学年の内容』(文部科学省)2022年06月11日検索
『インタラクションを通した数の概念の獲得』(人工知能学会全国大会論文集)2022年06月11日検索
『学習指導要領「生きる力」 第2章 各教科 第3節 算数』(文部科学省)2022年6月11日検索
『1年「たしざん(2)」(東京書籍)向山型算数でこう授業する』(TOSS LAND)2022年06月11日検索
『竹森 正人』(note)2022年06月11日検索