発達障害コラム

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この文を読んであなたはどう感じるか?〜発達障害とそうでない人の感じ方の違いと共感能力〜

公開日:2020年3月14日


 
 

発達障害とそうでない人の感じ方の違い

研究は、ロバート・ウィルキンズが息子アルフレッドの死後、医学部に寄付した1600万ドルを資金にしておこなわれている。
治療法を見つける、と彼は言っている。
それがわれわれの目指すところだと。

「ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記」より引用

上記の文を読んで、どう感じるでしょうか。

この文は書籍「ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記」で、他者に共感できるということはどういうことかを説明するためのたとえです。

この本を書いたジョン・エルダー・ロビンソン氏は発達障害ですが、TMSという治療により他者との共感能力が向上します。

結果、それまで感情変化なく読めていた文章に、共感能力が上がったゆえに感情を揺さぶられるようになったそうです。

言葉の意味の取り方は人それぞれですが、上記の文章の場合、

息子の死と寄付金の関係、どんな思いで研究が行われているのかということを自分の感情に落とし込めるかがポイントになってきます。

 
 
 

「ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記」とは?

「ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記」の内容については以前触れましたのでここでは割愛します。

 
 
 

文章の解説

ロビンソン氏はTMSにより共感能力が上がり、以前はなんとも感じなかった音楽や言葉に激しく感情を揺さぶられるようになります。

どのような感情を持つのか、分割しながら具体的に見ていきます。

 
 

ロバート・ウィルキンズが息子アルフレッドの死後、

「ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記」より引用

ここまでは「息子が亡くなってしまった」という内容。

 
 

研究は、(中略)医学部に寄付した1600万ドルを資金にしておこなわれている。

「ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記」より引用

先ほどの息子の死と、研究が結びつき次第に重い気持ちになります。

この話のロバート氏は、研究に自分のお金を寄付したようです。
そして文脈から、寄付したお金は息子が亡くなったときに(保険などで)手にしたお金、あるいは息子の死をきっかけに寄付しようと思った自分の貯蓄であることが予想できます。

 
 

治療法を見つける、と彼は言っている。
それがわれわれの目指すところだと。

「ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記」より引用

そして「治療法を見つける」という決意。
「息子と同じように命を落とす人を救いたい」というロバート氏の心が読み取れますよね。

ロバート氏は息子の死に悲しみながらも、そのお金を研究に費やし人々を救おうとしています。
どれだけ研究をしても、亡くなった息子は戻りませんが、彼は他者を救うために懸命に生きているわけですね。

この「治療法を見つける」という部分で筆者のロビンソン氏は声が震えたそうです。

ロバート氏の思いや決意を汲み取れたからですね。

 
 
 

おわりに

言葉の意味を理解するということはそこまで難しいことではありません。

一方、意図を読み取り共感するということは意味を理解するだけではできません。

たとえば
「愛する息子が死んだ」
という文章があったとします。

この人は息子を「愛して」いて、その息子が「死んだ」ということは文法的にわかります。

しかし、ここから
「もしも自分の愛する人が死んでしまったら」と想像し、
愛する息子が死んだこの人は「とても悲しかっただろう」と共感するには、知識ではなく心の力が必要です。

想像と共感。

人とコミュニケーションをとる上では、この2つが非常に重要であることがわかります。

 
 
 

参考資料

-発達障害コラム
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