三項関係とは?
例えば子供と母親が桜を見ていて、「綺麗ねえ」と共感しあう場面があったとします。
三項関係とはこのように、「私」「あなた」「物(事)」の3つの関係が成り立っている状況のことです。
三項関係は子供のコミュニケーション面の発達のおいて非常に重要な概念の1つです。
三項関係は何歳から?
三項関係は「私」「あなた」「物(事)」の三項の関係性のことです。
この三項関係の前段階として二項関係が存在します。
二項関係は「人(私)-人(あなた)」あるいは「人(私)-物(事)」という文字通り二項での関係性です。
この「人(私)-人(あなた)」・「人(私)-物(事)」を組み合わせることで三項関係は成立していきます。
日本発達心理学会の論文によると、
三項関係は生後9か月~14か月頃に成立すると考えられています。
三項関係の実際
三項関係の発達は人間のコミュニケーションにとって非常に重要な要素です。
三項関係の重要性は特に自閉症スペクトラム(ASD)のお子さんと関わる機会があると感じることが多いと思います。
個人差はありますが、ASDのお子さんの中には三項関係が不十分なお子さんがいます。
例えば大人が「あれを見て」と言って前方の桜の木を指さしたとします。
子供は桜の木を見て、大人は桜の木の説明をしたとします。
このとき「子供」「大人」「桜の木」は三項関係であると言えます。
しかし指さしの意図や場面を共有ることが苦手なお子さんの場合、
「あれを見て」と言っても言葉を発している大人のほうを見続けることがあります。
このとき、言葉を発しているのは確かに大人ですが、注目すべきは大人ではなく桜の木であるという状況が読み取れていないわけですね。
このように三項関係は他者との言葉にならない部分のやりとりに大きく影響します。
おわりに
子供の発達には個人差がありますから、
あくまで目安として捉えてもらえれば幸いです。
実生活ではその子自身のペースを大切にしてあげましょう。
三項関係が成立することで子供は他者と物事を共有することができ、それは「待つ」ことや「一緒にとどまって見る」ことつながっていきます。
そのため三項関係は
「静観的認識の始まり」
とも言われます。
このような考え方を踏まえると、三項関係は子供の「落ち着き」にも関係しているように思えますね。
補足記事
参考資料
『「心の理論」成立までの三項関係の発達に関する理論的考察 : 自閉症の諸症状と関連して』(日本発達心理学会 J-STAGE)2020年7月4日検索
『自閉症児の共同注視と言語発達』(日本高次脳機能障害学会 J-STAGE)2020年7月4日検索