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標準抽象語理解力検査(SCTAW)のやり方
抽象語理解力検査の実施方法は、6択の絵の中から検査者が言った言葉に該当するものを選んでもらいます。
問題の出題方法は、検査者が口で言う聴覚的理解と、単語カードと呈示する視覚的理解があります。
評価の意図に合った出題方法を選択して実施します。
抽象語理解力検査とは?
抽象語理解力検査の解説
対象者と対象年齢
抽象語理解力検査は小児の言語発達、成人の言語理解を評価したい場合が対象になります。
対象年齢は小学校2年生から成人になります。
対象年齢としては非常に幅広い検査です。
一方で、言語発達に関する検査は幼児期からとれる物が多いので、
小児の検査の中で言えばやや対象年齢が高い検査と言えます。
検査用具の構成や価格
抽象語理解力検査の検査用具は図盤と単語カードになります。
通常の検査セットはこれに検査用紙とマニュアルが付属します。
価格は1万円くらいになります。
検査の類としては購入しやすい価格帯かと思います。
検査用紙のみの販売もあり、こちらは20部で1600円くらいとなっています。
実施方法や所要時間、難易度
抽象語理解力検査は該当する言葉を6択の絵から選択してもらいます。
問題の呈示は検査者が言ってそれを一旦復唱してもらう聴覚的理解と、単語カードを見て音読してもらってから解答する視覚的理解があります。
聴覚的理解と視覚的理解のどちらで実施するかは、その人の障害様相から評価したい側面で選択します。
聴覚的理解については出題したあとに復唱を求める点が、類似した検査であるPVT-Rとの違いかと思います。
所要時間
抽象語理解力検査は復唱や音読に15秒、解答に30秒の制限時間を設けてあります。
問題数は32問か、これに13問加えた45問のパターンがあります。
32問と45問どちらのパターンで実施するかはその人の理解度や分析したい意図に合わせて使い分けます。
復唱や音読に15秒、解答に30秒、これが45問なので制限時間いっぱい使えば30分ほどかかる検査です。
しかし実際は30分もかからず終わることが多いと思います。
検査でわかること
抽象語理解力検査は各年代の平均正答数がありますので、こちらと比較しながら結果を分析します。
標準化もされているので、標準偏差なども参考にしながら見ていきます。
また抽象語理解力検査は正答数だけでなく、誤答した場合の傾向も分析すると有意義です。
抽象語理解力検査は音的に似ている単語や意味的に似ている単語をそれぞれ選択肢に配置しています。
これらから、その人がどんな類似で誤答しているのかを見るのも大切な分析です。
特徴や使用感
抽象語理解力検査は絵を選択してもらう、検査を受ける人にとっても行う人にとってもやりやすい検査かと思います。
検査用紙の構成やマニュアルもわかりやすいです。
一方で、小児の分野に限って言えば活躍の機会は比較的少ない検査かと思います。
理由としては検査内容がPVT-Rとかぶる点、なおかつPVT-Rよりも問題が難しく対象年齢が限られる点です。
ただし先述のように読み書きスクリーニング検査と連携している検査なので、検査のレパートリーとしては押さえておきたい検査ではあります。
おわりに
抽象語理解力検査は実施方法や解答方法が比較的簡便な検査です。
しかしながら問題内容は言語障害のある方にとっては比較的難しい内容であり、解答にそれなりに負担があることも考えられます。
その人にとって「難しすぎる内容」にならないか考慮した上で実施するか否かを検討したいものです。
参考資料
『標準抽象語理解力検査の小児への適用』(日本音声言語医学会 J-STAGE)2020年9月16日検索