側音化構音とは?
側音化構音(そくおんかこうおん)とは、呼気が口角の一方または両方から漏れることで音が歪んだ状態のことです。
聴覚的な印象としては「し」が「ひ」に近い音に聞こえるなど、主にイ段の音が歪みます。
側音化構音は構音時の舌・口唇・下顎の偏位が背景として考えられ、機能性構音障害の中で最も自然治癒率が低いと言われています。
解説
側音化構音の位置付け
側音化構音は機能性構音障害に分類されます。
口蓋裂などに伴い見られることもありますが、器質的な異常がないケースでも側音化は見られるため、機能的な構音障害と言えるでしょう。
側音化構音は機能性構音障害の中でも自然治癒率が低く、指導に時間を要する構音障害と考えられています。
側音化構音の特徴
側音化構音はイ段の音([ri](り)・[ki](き)・[gi](ぎ)・[ɕi](し)・[tɕi](ち)・[dʒi](じ)など)や拗音などに歪みが見られます。
この背景には舌・口唇・下顎の偏位が考えられ、構音時の左右非対称の動きが空気の漏れにつながり歪みを生じさせます。
イ段の音の音は口の中が見えにくく、構音器官の位置付けを子供に説明しにくいです。
このため側音化構音は年齢が低いほど(聴覚的な弁別の難しさも相まって)訓練が難しく、改善が難しい傾向にあります。
しかしながら子供の年齢が上がるほど誤りに対する習慣が固定化され、訓練は困難さを増していきます。
このように側音化構音は訓練時期のジレンマがあり、介入には根気強さと指導者・家族の共通認識がとても重要になります。
側音化構音の訓練
側音化構音の構音訓練ではまず最初に「い[i]」の音の訓練を行い、舌・口唇・下顎の偏位と音の歪みを取り除きます。
その後に[ɕ]・[dʒ]・[tɕ]・[k]・[ɡ]・[ç]・[r]といった各種子音を練習していきます。
実際のトレーニングにあたっては、正しい音を出すための「口の訓練」と、それを維持するため・正しい音を聞き分けるための「耳の訓練」を併行して行っていきます。
参考資料
湧井豊『構音障害の指導技法-音の出し方とそのプログラム-』学苑社、1992年