「わんわん いた」は二語文か?
「わんわん いた」「まま ねんね」などの表現は一般的に二語文に該当します。
子供の発達において「二語文」とは文節で数えることが一般的です。
つまり助詞はあってもなくても二語文と判断します。
このため「わんわん いた」も「わんわんがいた」も、どちらも二語文と考えます。
解説
二語文の定義
子供の発達において非常によく耳にする指標である「二語文」。
「『まま ねんね』は二語文です」と例を呈示されることは多いですが、ではどういう基準で二語文なのかを明記しているところは少ない気がします。
二語文の定義について少しでも触れているものを見てみると、日本音声言語医学会の論文で二語文の数え方を文節で行っている研究があります。
その他の発達検査や言語発達に関する論文についても二語文の二語とは文節での二語を指すことが多いです。
文節とは文章を意味がわかる最小単位で区切ったものです。
学校の国語の授業で習った記憶がある人も多いでしょう。
このように、二語文は主に文節での区切りを指します。
言葉の発達における二語文
定型発達において2歳前後に見られる二語文は、言葉の発達の重要な指標の1つです。
子供の発達には個人差があるのであくまで目安ですが、一般的には1歳前後に単語の表現を獲得し2歳前後に二語文の表現を獲得するに至ります。
その後に三語文へと移行していくわけですが、言葉の発達において四語文や五語文といった指標に重きを置くことはあまりありません。
三語文以降は多語文としてまとめられることが多いです。
このように、言葉の発達は単語・二語文・多語文という三段階で見ることが多く、それ以降は文の長さというよりもその質がポイントになっていきます。
実際、言葉の発達が二語文から三語文への移行で滞る事例と比べると、四語文から五語文への移行が滞る事例はあまり聞きません。
この背景には、多語文が出る頃と助詞の表現が活発になる頃がほぼ重なっている点が関係していると考えられています。
つまり単語~三語文に至る過程と比べると、それ以降の多語文の時期は語数を長くすること自体はそれほど難しいことではないとする仮説です。
補足記事
参考資料
『言語理論を基盤とする言語獲得研究―二語発話段階から多語発話段階への移行について―』(日本音声言語医学会)2022年3月12日検索