信頼性変動指数(RCI)とは?
「Reliable Change Index」の頭文字を取ったRCI(信頼性変動指数)とは、症状の臨床的に有意な変化を説明しようとする概念です。
解説
臨床的に有意な変化
医療においてエビデンス(科学的根拠)は重要です。
しかし、その治療が上手く行ったか否かは測定することは簡単ではありません。
例え治療に効果がなかったとしても、「この治療は効果的だ」と患者が思い込むことで思わぬ効果が出ることもあります(バイアス)。
また、治療とは関係なく時間の経過で自然と症状が改善した場合もあるかもしれません。
このような別の要因ではない「臨床的に有意な変化(clinical significance)=CE」を見極めることは重要です。
そしてCEを説明するための概念として生まれたのがRCI(信頼性変動指数)です。
RCIの求め方
Reliable Change Index(RCI)は標準誤差を用いて求められます。
具体的な式は以下のようになります。
RCI=介入前後のスコアの変化-標準誤差
RCIの判定
RCI(信頼性変動指数)は、1.96より大きいと、その変化が偶然ではないと解釈できます。
例えば何らかの薬を用いて症状に変化があったとします。
その際のRCIが1.96より大きければ、それは偶然ではなくその治療による変化と考えることができます。
RCIの実例
RCI(信頼性変動指数)を取り入れた尺度の例として、ADHDの質問紙であるADHD-RS(ADHD評価スケール)があります。
ADHD-RSにはマニュアルに標準誤差が記載されており、対象者の経過をRCIによって分析することができます。
個人差はありますが、ADHDに対して薬を服用し症状変化を見るケースは少なくありません。
こういった場合にADHD-RSを服用の前後で実施し変化を客観的に分析することは有意義と言えます。
参考資料
『社交不安障害の短期療法プロセスにおける情動知能の変化及び情動知能が不安感情に及ぼす影響について』(北星学園大学学術情報リポジトリ)2022年10月9日閲覧