語彙力と文章理解力の関係
小学生において語彙力と文章理解力は比較的高い相関が見られます。
つまり語彙力がある(たくさん言葉を知っている)子は文章を理解する力も高いことが示唆されます。
しかしながら、学年が上がるほど語彙力と文章理解力の相関は低くなることも予想されます。
解説
語彙力と文章理解力の関係
「語彙力」とは「語の意味を知っている」こと、「文章理解力」とは「ある文章を一定時間内に正確に理解できること」と考えられます。
日本教育心理学会の論文によると、小学生における語彙力と文章理解力の相関係数は高い値を示したことがわかっています。
「言葉をたくさん知っている子は文章を理解する力も高い」という感覚的に納得しやすい傾向は、科学的にも立証されていると言えるでしょう。
学年が上がる中での語彙力と文章理解力
同様の論文において、語彙力と文章理解力の相関係数は学年が進むにつれて徐々に下がる傾向が見られたそうです。
学年が低いほど語彙力と文章理解力の相関が高い。つまり言葉をたくさん知っている子は文章を理解する力も高い傾向が強いと言えるでしょう。
しかし学年が上がるほどその相関は低くなる。つまり言葉をたくさん知っているからと言って複雑な文章を理解できるとは限らないと言えます。
これは感覚的にも受け入れやすい事実ではないでしょうか。
子供は小さいうちはまだ複雑な文章をそこまで扱いませんから、語彙が多い子が相対的に文章の読み取りがスムーズになります。
対して、次第に学ぶ文章が複雑・長くなってくると、語彙の知識だけでなんとかなるわけではありません。
その文章を読み取る集中力や抽象的な思考力がより必要になっていきます。
つまり大人になればなるほど「語彙」の「知識だけ」で文章理解ができるかと言えばそうではないということです。
参考資料
『複数の読書量推定指標と語彙力・文章理解力との関係』(一般社団法人 日本教育心理学会)2023年6月13日閲覧