GUSSとは?
GUSSとは、摂食嚥下障害に評価方法の1つです。
「GUgging Swallowing Screen」の頭文字をとって「GUSS」です。
もとはオーストラリアで開発された検査です。
GUSSはベッドサイドおよび食事場面の観察評価から、その人に合った食事形態を客観的に提案できる検査です。
GUSSの解説
GUSSの内容
GUSSは唾液嚥下など間接嚥下テスト5点、実際に経口摂取を行う直接嚥下テスト15点、計20点満点のテストです。
間接嚥下テスト
↓
半固形物の嚥下
↓
液体の嚥下
↓
固形の嚥下
と各項目を通過できた場合のみ上位の段階に進んでいきます。
合計得点からその人に合うと思われる食形態を提案できます。
GUSSの意義
GUSSの意義は検査の性質通り、
検査の得点から食事形態の提案ができるところです。
VF(嚥下造影)などと相関があるMASAをはじめ、摂食嚥下障害の検査は非常にたくさんあります。
しかし多くの嚥下評価がその人の摂食嚥下機能を評価できる反面、検査結果から機械的には食形態を導き出すことができません。
つまり、多くの嚥下検査は
「この人の嚥下機能はわかった。で、この人はどんな食形態の物を食べればいいの?」
というシンプルな問いに答えることができないわけです。
このいささか滑稽とも言える摂食嚥下障害の現場に対抗するのが「GUSS」です。
GUSSは検査結果から食形態を提案できる数少ない検査の1つです。
GUSSの実際
GUSSは検査結果から食事形態を提案できますが、
あくまで提案であり目安にとどまります。
この理由は2つあります。
1つは摂食嚥下障害の病態は人によって多種多様であり、安易に検査1つで食形態を決めることはリスクがある点です。
もう1つは、
GUSSは先述の通り有意義な着眼点を持った検査ですが、日本文化を考慮した標準化がまだされていません。
原文を翻訳したものはありますが、
海外と日本では食文化が異なるため食形態の段階をそのまま活用すると実生活ではズレがあります。
例えばGUSSにおける検査で用いる「固形の食事」とは、「堅いパン」を指します。
これは米を主食とする日本文化にはあまりそぐわないでしょう。
しかしながら、
多くの摂食嚥下関連の検査が食形態の提案は専門家の主観に依存する現場を考えれば、GUSSの存在は貴重であると言えます。
現場とのギャップがあるGUSSですが、
客観的な嚥下評価のための検査の1つとしては非常に有用な位置づけにあると思います。
おわりに
GUSSをはじめ多くの嚥下検査はそれ単独で誤嚥や嚥下障害の有無を断定できるわけではありません。
複数の検査を組み合わせて総合的に判断することが必要になります。
GUSSの日本語訳はネットで探すと論文も見つかるので、一読の価値はあると思います。
参考資料
『摂食嚥下障害の評価 2019』(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)2020年5月16日検索
『摂食嚥下機能のスクリーニング検査 Up―to―date』(J-STAGE)2020年5月16日検索