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頸部聴診法の方法
頸部聴診法を行う場合、実際に音を聞く段階だけでなく、咳の促しやきれいな呼吸音の確認など事前準備が大切になってきます。
頸部聴診法はその性質上、検査者の技量により結果にばらつきが出やすいです。
そのためできるだけ一定の手順で客観的な評価ができるように気を付けます。
実際の手順
①嚥下反射の確認
事前に嚥下反射が惹起されることを確認します。
②貯留物の排出
咳などを促し、先に口腔・喉頭・咽頭内の貯留物を排出させます。
場合によっては吸引などを行います。
こうして口の中をすっきりさせた状態を作ります。
③澄んだ呼気音の聴取
聴診器を頸部にあてます。
呼気をできるだけ一定の強さで出してもらい、呼気音を聴取します。
指示が通らない患者さんの場合は自発呼吸音を聴取します。
湿性音のない澄んだ呼気を聴取します。
もしも湿性音がある場合は、前述の「貯留物の排出」を再度行います。
こうして澄んだ呼気音を聴取できてから次に進みます。
④嚥下音の聴診
「いつものように飲んでください」
と指示し嚥下してもらい、嚥下音を聴取します。
指示が通らない患者さんの場合は普段と同じように飲み込んでもらいます。
⑤嚥下後の呼吸音聴診
嚥下終了後、貯留物の排出行為(②と同様)は行わずに、呼吸音を聴診(③と同様)します。
そして前述の澄んだ呼気音あるいは呼吸音と比較します。
おわりに
頸部聴診法は検査者によって結果の信頼性に比較的ばらつきがある検査です。
検査結果の精度一定に保つには、手順の②と③を端折らず行うことが大切です。
②と③を行わずいきなり嚥下音を聴取すると比較ができず聴診に伴う評価がブレる可能性があります。
摂食嚥下障害の評価
参考資料
『摂食嚥下障害の評価 2019』(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)2020年8月3日検索