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虐待と発達障害の割合と負の連鎖
発達障害児は虐待される、というわけではありませんが、虐待と発達障害児の割合にはある程度の関連がうかがえます。
虐待を受けた子供の中には、発達障害の診断に至るケースが少なくありません。
また、虐待を行った親は子供の頃に自身も虐待を受けていたケースが少なくありません。
以下、発達障害や虐待について見ていきます。
解説
子育て支援における虐待の現状把握
発達障害児の評価や支援の参考として、厚生労働省の福祉事業にて作成された「発達障害者支援とアセスメントに関するガイドライン」があります。
このガイドラインの一節に、子育て支援外来を開設したある病院の約10年間の調査結果があります。
これによると、虐待を受けた子供の中で何らかの発達障害の診断が可能な子供は50%を超えたそうです。
虐待を受けた子供の中の発達障害の割合
先述の病院の調査によると虐待症例に認められた子供の内、自閉症スペクトラム障害(ASD)は全体の30%、注意欠如多動性障害(ADHD)は15%だったようです。
その他の診断も含めると、虐待症例の子供の内、何らかの発達障害の診断が可能な子供は50%を超えたそうです。
またこれらの中で知的障害を伴うケースは多くなく、虐待を受けた発達障害児の約85%は知的障害を伴わないいわゆる軽度発達障害であったそうです。
もちろん発達障害だから虐待を受けると決めつけられるわけではありません。
しかしながら、軽度発達障害は虐待の危険因子(リスク要因)の1つであるとは言えるでしょう。
虐待の負の連鎖
同調査にて虐待が見られた家庭の親の約6割が、親自身が被虐待体験を持っていたそうです。
虐待を受けた子供が親になったとき、同様に子供に虐待をしてしまういわゆる「負の連鎖」はよく指摘されます。
この傾向は実際の調査からもうかがえ、この負の連鎖を断ち切ることは子育て支援における大きな課題と言えるでしょう。
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参考資料
『発達障害者支援とアセスメントに関するガイドライン』(特定非営利活動法人 アスペ・エルデの会)2025年3月15日閲覧
