思春期の子供に対する非認知能力の促進
思春期の教育において「脳の働きや知性は鍛えることができる」ということを学ぶことは重要です。
単に「知識」を学ぶのではなく「知識は鍛えられる」と概念を学ぶことは、非認知的能力に着目した教育であり思春期の子供にも有意義な教育と言えます。
解説
非認知的スキルと幼児教育
非認知的能力は、幼児期に教育を行うことが望ましいと考えられています。
幼児期の教育はそれ以降の教育と比較すると対費用効果が高く、また非認知的スキルの獲得は比較的長期にわたってその人の人生にプラスの影響を及ぼします。
では幼児期が過ぎた後、例えば思春期の子供の非認知的能力を高めるにはどうしたらいいのでしょうか。
思春期の子供に向けた非認知的要素に対処する、安価でありながら効果的な介入は「脳の働きや知性は鍛えることができる」ということを学ぶことです。
能力は変えられるという自覚
新しい物事を学び自分の能力を伸ばそうとする際、脳は新たな神経細胞のつながりを形成し知的スキルが高まる。
人間の能力の可能性学んだグループは、ただ勉強だけを行ったグループと比較すると意欲が向上し成績もアップしたそうです。
知的スキルや社会的スキルには展性があることを教えられた高校生は、成績やストレスレベル、(攻撃性を含む)素行、健康状態などに変化があったそうです。
この効果は一時的なものでなく、学年を通して続いたそうです。
このように勉強だけでなく心の在り方や考え方を指導することは思春期の子供達の教育においても重要と言えます。
また、思春期の子供に対する非認知能力への介入は、幼児期の逆境のダメージをある程度修復できることも指摘されています。
幼児期の教育が重要である点は変わりませんが、幼児期に恵まれた環境に居た子とそうでない子の格差を埋めるために、「思春期の子供への非認知能力の教育」は貢献すると言えるでしょう。
非認知能力とは?
参考資料
ジェームズ・J・ヘックマン(著)、古草 秀子(翻訳)『幼児教育の経済学』東洋経済新報社、2015年