保育園にせよ幼稚園にせよ小学校にせよ、教育はただ知識を教え込むことではなく協調性や集団行動を学ぶ場でもあります。
発達障害のお子さんの場合、集団行動が苦手な場合がありますが、指導はどのようにしていきましょう?
先天的と後天的の線引き
発達障害のお子さんは、その障害ゆえに日常のちょっとしたことができなかったり意識が向かなかったりします。
人の目を見て挨拶をするとか、机に座っているときに姿勢が崩れるなんてことは往々にしてあります。
例えば生まれつき体のバランスをとることが苦手なお子さんの場合、けっこう頑張っても長時間姿勢良く座ることは大変だったりします。
わざと姿勢を崩しているわけではないのです。
この「生まれつきの特性」と「やる気の有無」の線引きは正直難しいですが、いずれにせよお子さんの全ての言動を「やる気」や「気の持ちよう」で片付けるのはスマートではないわけですね。
お子さんの言動を「流す」
姿勢良く座ることは大切なことです。
しかし状況によっては、「多少姿勢が崩れても、目の間の課題に全力で取り組む」ということが必要な局面もあります。
せっかくお子さんが集中しているのに、「ほら、姿勢を正して」と毎回毎秒指導するのはやぼというものです。
発達障害について知識があるスタッフは、「それを指導するとき」と「今は別の面を指導すべきとき」でメリハリをつけて指導にあたります。
何かすべき課題があって、今はそれをものすごく頑張ってくれている。
そういうときは、多少の姿勢の崩れは黙認する場合があります。
つまり場合によってお子さんの言動を「流す」わけですね。
ソーシャルスキルトレーニング
この「流す」という行為のタイミングや程度が発達障害のお子さんの指導には大切になってくるわけです。
一般的な勉強というか知識というか、そういった課題意図の場合はお子さんの言動にそこまでフォーカスを当てません。
反対に、「あいさつをする」「友達との順番を守る」「静かに待っている」などといった言動に関するトレーニングのときはお子さんの行動に着目し、指導します。
これらはソーシャルスキルトレーニングと言ったりもします。
もっと詳しく:ソーシャルスキルトレーニングとは?
理にかなった指導をする
ソーシャルスキルトレーニングにおいても、ただ単に「ちゃんとしなさい」と根性論で指導するわけではありません。
例えば「待っててね」とただ単に言うよりも、「見張りをしているおまわりさんになっててね」と言ったほうが子供は長くその場で待てます。
もっと詳しく:待てない子を待てるようにする工夫~自制心を鍛える方法~
これは人間が「自分は○○なんだ」となりきった方が行動指針が明確になるという傾向を利用したものです。
このように心理学や脳の仕組みをうまく利用して理にかなった指導をしていきます。