1. 子供の英語教育について知っておきたいこと
早期の英語教育が盛んな昨今において、我が子をバイリンガルにしたいと思う親御さんも多いのではないでしょうか。
子供の英語教育について知っておきたい点は大きく2点あります。
1つ目は、
第一次言語がしっかり根付いている子供は言葉の発達も著しい。
2つ目は、
外国語のDVDは乳幼児をバイリンガルにするための脳神経的効果はない。
第一次言語とはその人が最も得とする言語です。
日本の場合は多くの人が日本語が第一次言語になると思います。
以下、もう少し詳しく。
2. 第一次言語の定着
日本人にとって「L」と「R」の音を区別することは難しいですね。
一方で、英語を話す外国人にとっては「L」と「R」の区別は容易でしょう。
なぜなのでしょう?
それは日本語は「L」と「R」の音を区別する必要がない言語だからです。
もっと言うと、
人間生まれて間もない頃は、人間が発する全ての音の違いがわかります。
それが成長するにつれ、第一次言語に合わせて必要な音と必要じゃない音を脳が取捨選択していきます。
「だったら音が取捨選択される前に、いろんな言語を聞かせてバイリンガルにしちゃえ」というのがよくある英語教育の考え方。
じゃあ、実際のところ子供にどんな影響が出るのでしょう?
乳幼児の言語習得研究の第一人者であるパトリシア・クール氏の研究によると、
生後9カ月時点で第一次言語の神経経路の結び付きが進んでいる子供ほど、3歳になったときの言葉の発達が著しいそうです。
つまり、
まずは日本語をしっかり聞き分けられるようになった赤ちゃんほど、3歳になったときの言葉が多いということです。
3. 英会話DVDは効果があるのか?
「子供に英語を教えたいけれど、自分は英語が話せない」
そういった経緯から、子供向けの英語DVDを見せる親御さんも多いのではないでしょうか?
子供向けの英語DVDは効果があるのでしょうか?
人は成長する中で自然と第一次言語で使わない音を認知しなくなるということは先ほど述べました。
「だったら音が取捨選択される前に、いろんな言語を聞かせてバイリンガルにしちゃえ」というのはつまり、「第一次言語の神経経路の結び付きを遅らせる」ということです。
クール氏によると、
子供向けの英語DVDを見せても、第一次言語の神経経路の結び付きを遅らせる効果はありません。
結局のところ、実際に人が接することには敵わないというわけです。
4. まとめ
早期の英語教育が盛んな昨今において、子供に英語を教えたい親御さんは多いでしょう。
子供の英語教育において知っておきたいことは、
第一次言語がしっかり根付いている子供は言葉の発達も著しいということ。
あれもこれもとやっていては、子供の脳はどっちつかずになってしまうのかもしれません。
また、
子供向けの英語DVDを見せても、第一次言語の神経経路の結び付きを遅らせる効果はありません。
英語にせよ日本語にせよ、やはり直接人と人とが言葉を交わすコミュニケーションが何より大事なわけです。
5. その他の記事
6. 参考資料
ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン『間違いだらけの子育て』インターシフト、2011年