今日は子供の生活とテレビの影響についてです。
1. 子供はテレビの影響を受ける?
テレビ番組の内容自体によって、子供が受ける影響が大きく変わることはありません。
教育番組を見せようがバラエティー番組を見せようが、良くないことを真似るす子は真似するし、しない子はしない。
過激な言動がある番組とそうでない番組を見た子供達のその後の言動の変化を見比べた研究で、双方に大差がないことが確認されています。
「子供がテレビの影響を受けてしまわないか心配」と親は思ってしまいますが、親が思うほど子供はしっかりとテレビを理解できていないのです。
2. 子供はテレビを理解できているのか?
心理学者のジェイミー・オストロフ氏による未就学児を対象にした研究によると、教育番組と暴力的な番組を見せた場合に子供の暴力性はどちらも同じくらい増加したそうです。
またテレビを見ていない子供と比べると、教育番組をたくさん観ている子供ほど対人攻撃性が相対的に高かったそうです。
未就学児の場合、テレビ番組の内容とそれらが示す最終的な教訓を結びつけて理解することがまだ難しいという背景があるためです。
3. アンパンマンは暴力主義?
親が子供に見せることを躊躇するテレビ番組と言えば、「よくない言葉づかいをする」「暴力的なシーンがある」などではないでしょうか。
いずれにせよ、子供に真似してほしくない言動があるテレビ番組を親は子供に見せたくないわけです。
では、子供向けの番組が「真似してほしくない言動」がまったくないかと言えばそうではありません。
例えばアンパンマン。
アンパンマンでは毎回バイキンマンがみんなに困ったことをしますね。
でもこれをアンパンマンが解決するから大丈夫と考える親御さんは多い。
アンパンマンの内容は、
・バイキンマンがみんなを困らせる
・アンパンマンがバイキンマンをやっつける
・問題が解決する
という流れが主だと思います。
この話の流れを全体を通して理解できるなら、「悪いことをすれば罰を受けるし、弱い人を守ることは大切なこと」という教訓が得られます。
しかし子供は大人より物事をその部分その部分で理解し、必ずしも全体の因果関係を通して見れるわけではありません。
・バイキンマンがみんなを困らせる
→なんかいたずらしておもしろそう
・アンパンマンがバイキンマンをやっつける
→相手を叩いてなんとかすればいいんだ
・問題が解決する
→なんかみんながニコニコ
くらいにしか捉えないことは多い。
しかも、バイキンマンはアンパンチで飛ばされてしまうので、自分がしたことに対して謝るようなシーンも少ないです。
つまり物語全体を通した因果関係の説明も特にないわけです。
こういった番組構成の傾向はなにもアンパンマンに限らず、多くの子供向け番組にいえることでしょう。
4. まとめ
以上のように、教育番組もそうでない番組も子供にとっては同じくらい因果関係の説明が省かれているので、どっちみち影響を受けます。
未就学児、つまり幼稚園・保育園の時期のお子さんはまだ物語全体を通して教訓を読みとるような理解力は不完全です。
テレビ番組内の「好ましくない言動」をシーンはそのまま受け取りやすい。
子供にテレビを見せるなら、周囲の大人が因果関係を説明してあげることが有意義でしょう。
5. その他の記事
6. 参考資料
ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン『間違いだらけの子育て』インターシフト、2011年