助数詞の理解の傾向
子供は言葉の発達に伴い、存在論的区別と助数詞の関連性に気づいていきます。
具体例としては、「1匹」と数えることが正しい犬を、「1人」と間違うことはあっても「1個」と間違うことは比して少ないということです。
これは犬が人と同じ生き物であり、「個」とは無生物に使う助数詞であると感覚的に理解しているためです。
こういった傾向は5~6歳(保育園・幼稚園の年長)頃から見られると考えられています。
解説
助数詞と存在論的区別
助数詞は例外的な表現もあり、幼児期にとって難しい言葉の1つと言えます。
同じ動物でも「匹」「頭」と使い分けが必要ですし、その基準は一見すると曖昧です。
同じカテゴリー(例えば「動物」)でも複数を使い分ける必要がある助数詞(例えば「匹」「頭」)ですが、原則として動物・非動物をまたいでの使用は見られないが日本語における特徴と言えます。
つまり生き物に対して「人」「匹」「頭」など様々な助数詞がありますが、少なくとも「個」「本」「つ」などは使いません。
日本発達心理学会の論文によると、動物・非動物というカテゴリーと助数詞の関連性に気づくのは5歳頃と考えられています。
数助詞の獲得のしやすさ
対象のカテゴリーと助数詞の関連性に気づくことは、助数詞の理解を促すでしょう。
例えば「象」に付く助数詞を仮に知らなかったとしても、「少なくとも『個』や『本』ではない。『匹』や『頭』ではないか」といった予想を立てることができます。
存在論的カテゴリーと助数詞カテゴリーが関係するのは、日本語の特徴の1つとも言えます。
中国語は動物・非動物のカテゴリーをまたいで使用する助数詞がある言語です。
日本と中国を比較すると中国の幼児は日本の幼児と比べて助数詞の獲得が遅いという調査もあります。
この差は存在論的カテゴリーと助数詞カテゴリーの関係の有無が背景にある可能性が考えられるでしょう。
言葉の発達から見る助数詞
参考資料
佐藤賢輔、針生悦子(2006)『幼児における助数詞の理解 : 存在論的カテゴリーに注目して』(一般社団法人 日本発達心理学会)2024年9月28日閲覧