【目次】 [close]
「ITPA 言語学習能力診断検査」とは?
ITPA言語学習能力診断検査。
アルファベットをそのまま呼んで「ITPA(アイティーピーエー)」と呼称されます。
ITPAは言語検査の1つであり、
実施することで標準偏差のある評価点が算出できます。
また、個人の得意不得意である「個人内差」の評価に着目している点もこの検査の特徴です。
検査の概要
対象者と対象年齢
言葉や知的な遅れ、学習障害などのお子さんが対象になってきます。
対象年齢は3歳0カ月~9歳11カ月となっています。
そのため3歳未満のお子さんには実施が難しい課題構成になっています。
一方で、お子さんの力を見るために10歳以上でもケースバイケースで行われることもあります。
検査用具の構成や価格
机上で対面し、1対1で行う検査方式です。
各種図版や用具を用いて行うため比較的多様な内容です。
ITPAはすでに絶版になっているため、新規で検査用具を購入することはできません。
検査用紙のみ販売しているかたちで、20名分で1万円ほどです。
実施方法や所要時間、難易度
各種検査用具とマニュアルに準じて行います。
所要時間はおおむね1時間前後をみていいでしょう。
検査方法自体はものすごく特殊というわけではありません。
ある意味で言語検査らしい言語検査です。
一方で、実施手続きはそれなりに厳密で、所要時間や問題の多様さから、それなりに分析に手間のかかる「大きい検査」の類いと言えます。
検査でわかること
言語能力を中心とした全体的な発達をみることができます。
検査を実施すると、正常発達を参考に標準化された評価点を算出することができます。
評価点は平均値が36、標準偏差は6となっています。
特徴
ITPAは他の検査と同様、「平均的なお子さんと比べてどのくらい遅れているかいないか」を見ることができます。
しかしITPAの特徴は健常児との比較よりもむしろ「個人内差」に注目している点と言えます。
本人のいろんな能力の中でどれが得意でどれが苦手か。
何かを学習する場合、どういった方法が効果的か。
そういった、その子を見たその子の評価につながる検査と言えます。
検査の実際
良いところ
お子さん達の言葉の発達を見る専門家の間では、長らく使われているスタンダードな検査の1つです。
検査の性質上、スクリーニングではなく、詳細評価やメインの評価として活躍することが多い検査です。
悪いところ
良い検査なのですが、すでに絶版になっているのが残念です。
そのため、現在ITPAを知らないスタッフが、今からITPAを勉強しようと思うとなかなかモチベーションが上がりにくいですね。
検査用紙も時期に絶版になる様子ですし、いずれとることがなくなる検査ではあります・・・
おわりに
お子さんの発達を支援する専門家界隈でよくある考えが、
「人と比べるのではなくその子の得意・不得意や変化に注目してあげる」
というものです。
個人内差に注目するITPAはそういった現場の要望に叶った検査と言えます。