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「TK式言語発達診断検査」とは?
TK式言語発達診断検査とは、文字の学習時期を評価する点が特徴的な言語検査です。
TKとは田研です。
田研出版による言語発達診断検査であり、名称が「言語発達診断検査」では平易なため他の検査と区別する意味合いで
田研式言語発達診断検査
TK式言語発達診断検査
などと呼称されます。
検査の意義
「子供の言語発達」という分野において、文字の読み書きというのは避けては通れない分野でしょう。
読み書きの学習は就学後、つまり小学校から本格的に始まります。
そのため「読み書きスクリーニング検査」や「LCSA」など、文字を扱う検査の多くが小学生を対象にしています。
その一方で、健常発達における文字の読み書きは幼児期後半、5~6歳頃から可能になってきます。
このように考えると、
子供や家族のニードによっては幼児期の読み書き評価を行う必要性が出てきます。
幼児期から小学校低学年という比較的早期の文字に対する評価を行えるのが、TK式言語発達診断検査です。
検査の実際
対象者と対象年齢
幼児期から小学校低学年のお子さんを対象とした言語検査です。
言葉の発達、特に
文字を学習してもいいくらいの発達段階に達しているかを見る際に用いる検査です。
検査用具の構成や価格
検査は
・語い検査
・発音検査
・音韻分解検査
・読字検査
の4つの分野に分かれます。
これらを実施するための各種絵カードと検査用紙が含まれます。
価格は1万円弱で、検査の類としては比較的安価な部類になるかと思います。
実施方法や所要時間、難易度
検査は1時間あれば余裕を持って終わることができるでしょう。
先述の通り検査は4つの分野に分かれており出題の仕方も異なりますが、いずれもシンプルです。
比較的実施しやすい検査と言えます。
検査でわかること
検査結果からお子さんの発音や音韻分解能力、語彙年齢や読字力がわかります。
これらの結果から
文字学習を行うに相当する発達段階かどうかの評価ができます。
特徴や使用感
本検査は子供の文字学習に関する発達を評価する検査です。
そのための要素として、音韻分解能力の検査が含まれます。
音韻分解能力は文字の読み書きだけでなく、発音などにも関わる能力です。
幼児期の言語発達において音韻意識の評価を行うことは多々あります。
一方で音韻意識単独の検査というものはあまりありませんから、
現場レベルで考えると、TK式言語発達診断検査は音韻分解検査の項目だけ抜粋して行うのも便利ではないかと思います。
おわりに
TK式言語発達診断検査は幼児期の音韻意識や文字能力を見ることができる非常に使える検査です。
一方で、本検査に含まれる
発音検査は構音検査、
語彙検査はPVT-Rなど、
他の言語検査と重なるような内容も多々あります(まったく同じではありませんが)。
また、音韻分解や読字検査に関しても検査自体は有意義ですが、問題数はそこまで多くありません。
このように考えると、
TK式言語発達診断検査は非常に有意義な検査ではありますが、すでに構音検査やPVT-Rをとっていたりした場合は省略されがちな検査であるとも言えます。
参考資料
『言語発達診断検査』(田研出版)2020年6月3日検索
『TK式 言語発達診断検査』(サクセスベル)2020年6月3日検索