LCSA(学齢版 言語・コミュニケーション発達スケール)とはお子さんを対象にした言語検査です。
未就学児(小学校入学前のお子さん)を対象にした言語検査であるLCスケールの小学生版にあたります。
関連記事:LCスケールとは?
Language Communication School Age childrenの頭文字をとってそのままLCSA(エルシーエスエー)と読みます。
子供を対象にした言語検査です。
主に図版を見ながら検査者の出す問題に答えていってもらいます。
筆記課題はありません。
全て口頭および指さしによる選択で答えてもらいます。
LCSAの対象年齢は小学校1年生から4年生までです。
言葉や学習の遅れの疑いのあるお子さんに実施します。
小学校4年生とは10歳になる年のお子さん、つまり「9歳○○か月」のお子さんです。
「9歳の壁」という言葉もあるように、9歳前後で勉強についていけなくなるお子さんは多いと言われています。
これは別の言い方をすると
学習に何らかの支障があるお子さんの場合、1~4年生の間にそれが露呈することが多いことを示します。
逆に1~4年生のカリキュラムをしっかりこなせたお子さんで、5,6年生でつまづくことは少ないです。
あくまで傾向ですが。
LCSAの対象年齢にはそのような社会的な背景も影響しています。
所要時間は60分前後です。
LCSAは選択肢から解答する問題だけでなく、自分が思ったように答えを述べてもらう問題もあるので解答者の言葉数で所要時間は前後します。
LCSAは
・口頭指示の理解
・聞き取りによる文脈の理解
・音読
・文章の読解
・語彙知識
・慣用句
・心的語彙
・文表現
・対人文脈
・柔軟性
・音韻意識
といった10の項目に分かれています。
口頭指示の理解
検査者の口頭指示をどれだけ理解できるかが問われます。
図版の絵を検査者の指示通りに指さしたり答えたりする問題です。
聞き取りによる文脈の理解
検査者が読み上げた長文を参考に、以後の質問に答えてもらう問題です。
音読
文字通り、問題文を音読してもらいます。
読み間違いがないか、スピードは適切かなどが評価されます。
文章の読解
「聞き取りによる文脈の理解」が問題文を検査者が読み上げるのに対し、「文章の読解」は自分で問題文を読み上げてから答えてもらいます。
語彙知識
特定の言葉の意味を、別の言葉で説明するといった言葉の豊富さが問われます。
慣用句
「語彙知識」が単に言葉の意味を問われるのに対し、「慣用句」は文字通り慣用的な表現がわかるかを問われます。
心的語彙
言葉の裏にある意図を読みとれるか、それを言葉で表現するとなんなのか。
文表現
単語ではなく文章での表現力や理解力を見ます。
対人文脈
敬語などを中心とした、人や状況によって表現力を変える力を見ます。
柔軟性
「硬いものは何があるでしょう?」このようにカテゴリーにとらわれず柔軟に発想してもらいます。
※実際の検査に「硬いもの・・・」という問題はありません。ネタばれになるのであくまで例です。
音韻意識
音の意識を見ます。
もっと詳しく:音韻意識とは?
LCSAではそのお子さんの言葉の力を見る検査です。
結果は偏差値として出てきます。
LCSAは平均100、標準偏差15の正規分布におけるその子の指数を見ることができます。
ちなみに就学前対象のLCスケールと異なり、LCSAは発達年齢を算出することはできません。
補足記事:知能指数(IQ)の理解において重要な「平均」と「標準偏差」とは?
以上のように、LCSAは小学生であってもなかなか解きごたえのある検査となっています。
知的障害のある小学校低学年のお子さんにはなかなか難しい検査かもしれません。
しかしながら、音読や慣用句など小学校に入ると授業で触れるような言葉の力も盛り込まれているので、就学後はその子の力を見るために非常に参考になる検査のひとつと言えるでしょう。
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