正しい音ではないけれど、じゃあどんな音かと言うと伝えにくといった音の誤りがあります。
この何とも言い難い音の誤りを歪みと言います。
歪みを起こす原因として、異常構音があります。
口蓋化構音(こうがいかこうおん)は機能性構音障害における異常構音の一つです。
今日は口蓋化構音についてです。
補足記事:機能性構音障害とは?
発音にはそれぞれ正しい舌の動きというものがあります。
例えばタ行の音は舌の先を使います。カ行は舌の後ろを使います。
口蓋化構音は、本来は舌の前方で作られる音が舌の後方を使ってしまい歪んでしまう状態です。
本来は舌尖(ぜっせん)や前舌で作られる音が、舌背(ぜっぱい)や口蓋で作られるわけです。
補足記事:発声発語器官の名称 ~人はどうやって声を出すのか?~
口蓋化構音は舌の前方を使う音、つまりサ行やタ行、あるいはザ行やダ行に多く見られます。
タ行やダ行の音がカ行やガ行に近い音になってしまいます。
あるいはサ行がヒに近い音になってしまいます。
いずれも舌を使う場所、つまり構音点が後方にずれているのです。
上記のように、口蓋化構音は構音点が後方にずれてしまった状態です。
口蓋化構音の改善は、構音点を前方にうつすことです。
口蓋化構音の改善は、まず構音点を前方にしての構音を可能にすること。
そして構音点が後方の音はそのままに、構音点が前方の音を正しく構音できるようになることです。
「た」は舌先、「か」は舌の後ろを使う音です。
正しく発音するためには、当たり前ですが舌先を使うときは舌先、後ろを使うときは後ろと口の動きにメリハリをつけなければいけません。
例えば「かたかた」という音がすべて舌が後ろだと「かかかか」に近くなってしまいます。
舌が前方だと「たたたた」です。
メリハリをつけて「かたかた」と言えるようになることが重要です。
<その他の記事>
「さしすせそ」(サ行)の発音練習(1)
【参考文献】
本間慎治『改訂 機能性構音障害』建帛社、2007年