助数詞の獲得の順番
「助数詞」とは1個・1匹など、数の後ろに付いてその性質を表す単位のことです。
子供は初期に「個」「回」「つ」といった助数詞の使用が見られ、「人」や「台」といった助数詞が比較的早く獲得されます。
また「匹」「枚」「本」「頭」なども比較的早い時期に獲得される助数詞と考えられています。
解説
覚えやすい助数詞の例
助数詞の獲得として比較的初期に挙がるものは、「個」「回」「つ」、「人」「台」「匹」「枚」「本」「頭」などがあります。
日本発達心理学会の研究論文によると、保育園の年長児において「人」や「台」といった助数詞は比較的正確に用いることができていたそうです。
これに対し、「枚」「本」などは若干難しく、「頭」は年長児ではなかなか難しかったようです。
いずれの助数詞も日常的に使う基本的なものの1つと考えられますが、細かく見るとその獲得傾向は個々で異なるようです。
この背景には、名詞カテゴリーとの関係性が考えられます。
獲得しやすい助数詞の背景
「人」や「台」は「人間」と「乗り物」という名詞のカテゴリーとほぼリンクしています。
名詞カテゴリーと助数詞のカテゴリーが一致していることが、幼児が初期に覚えやすい要因となっていることが予想できます。
これに対し、「枚」や「本」という助数詞は「薄い物」「細い物」といった言語特有のカテゴライズです。これは名詞カテゴリーに助数詞を当てるのではなく、むしろ逆で助数詞によって共通点が明確になるカテゴリーと言えるでしょう。
獲得しにくい助数詞の背景
「頭」の助数詞が難しい背景には、用いる基準の曖昧さに加え、すでに獲得している「匹」という助数詞の汎用が考えられます。
つまり先に覚えて簡単な「匹」で済ませようとしているということです。
ちなみに「動物」のカテゴリーを理解できている子供のほうが、そうでない子供よりも(「匹」など動物に関わる)助数詞を学習しやすい傾向があるそうです。
助数詞に先立ち名詞のカテゴリーを学習することは大切なことと言えるでしょう。
言葉の発達から見る助数詞
参考資料
佐藤賢輔、針生悦子(2006)『幼児における助数詞の理解 : 存在論的カテゴリーに注目して』(一般社団法人 日本発達心理学会)2024年9月28日閲覧