近時記憶とは?
近時記憶とは、数分から数日程度覚えている記憶のことです。
常に頭の中に意識していなくても、あとから思い出せる記憶のうち、数分から数日程度なら思い出せるものが近時記憶に該当します。
何が近時記憶かは人によって様々でしょうが、例えば「昨日何を食べたか?」などが該当します。
解説
分類や位置づけ
記憶の分類の仕方はいくつかあります。
近時記憶は臨床神経学における分類の仕方の1つです。
臨床神経学では記憶を保持時間(覚えておける時間)で分類します。
臨床神経学における記憶の分類は以下のようになっています。
- 即時記憶
- 近似記憶
- 遠隔記憶
このうち近時記憶は保持時間が即時記憶より長く、遠隔記憶よりも短い記憶を指します。
近時記憶の定義や特徴
即時記憶・近似記憶・遠隔記憶は保持時間の長さで分類したものですが、それぞれの保持時間の長さに厳密な定義はありません。
しかしながら、冒頭で述べたように臨床像としては数分から数日くらい保持された記憶を指す場合が多いです。
また、即時記憶と近時記憶の大きな違いの1つが保持している間に他の認知作業の干渉を受けるか否かです。
近時記憶は干渉を受けます。
つまり、何か別のことをして一旦その内容が頭から消えても、思い出せるのが近時記憶です。そうでないものが即時記憶と言えます。
近時記憶の例
即時記憶の例としては、前日の食事の内容や事柄などがあります。
また、単語を3つ覚えてもらい5分後にそれを言ってもらうのも近時記憶の力と言えます。
これはMMSE(Mini Mental State Examination)という認知検査で用いられます。
その他の記憶の種類
即時記憶とは?
遠隔記憶とは?
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『ワーキングメモリトレーニングと流動性知能』(日本心理学会)2022年8月6日検索
『記憶とその障害』(一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)2022年8月15日閲覧