流暢に話せたときに褒めることの大切さ
吃音がある人が人前で流暢に話せたとき、(プレッシャーにならない程度に)他者から褒めてもらえると流暢に話せることが増える傾向にあります。
吃音がある人を受け入れるスタンスは大切です。
同時に、過剰に白々しく褒めたり、物(ご褒美)などに頼るのは避けましょう。
そして褒めることとは反対に、吃音症状が出たときにからかわれたり真似をされたり、いじめられたりすると吃音の頻度が増えるケースも見られます。
これらはオペラント学習における「強化」の概念で考えることができます。
解説
オペラント学習とは?
オペラント学習とはオペラント条件付けとも呼ばれます。
オペラント学習とは行動主義心理学の理論の1つです。
ある行動がある物事によって誘発されることが習慣化されることをオペラント条件付けと言います。
例えば宿題をして親や先生から褒められると、そうでない場合よりも「また宿題をしよう」と思えるかもしれません。
このときの「褒める」は「宿題をやる」のモチベーションとなります。
吃音とオペラント条件付け
オペラント条件付けにおいて、その行動を促していく要因を「強化」と言います。
宿題をやるモチベーションとして「褒められる」がある場合、褒められることはその人にとって強化となっています。
程度の差はあるでしょうが、吃音についても流暢に話せたことを肯定的に受け止めてもらえれば、それが励みになるでしょう。
一方で吃音の症状が出たことをからかわれれば、それがネガティブなイメージとなってプレッシャーとなってしまうかもしれません。
吃音とトークンエコノミー
オペラント学習と関連して、トークンエコノミーという手技があります。
トークンエコノミー(代用貨幣治療)とは、その人にとってのご褒美に関連する交換可能な物を使った手技です。
例えばシールを10枚集めるとその子の好きなおもちゃが買える場合、そのシールはトークンと言えます。
「宿題を頑張れたらシールを1枚もらえる」などの方法がトークンエコノミーです。
吃音についても流暢に話せた際にトークンエコノミーの原理を用いると吃音が減ったという報告があります。
ただし、トークンのないシチュエーションでは吃音の症状が元に戻っていることも確認されています。
吃音症状の軽減を目的としたトークンエコノミーは行わないほうがいいと考えられます。
補足記事
参考資料
『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索