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幼児への発話モデリング
ゆっくり話すことは吃音の症状を軽減・なくすことができますが、吃音を根本的に治すわけではありません。
あくまで一時的な方法です。
このため吃音を治す目的でゆっくり話すことを指導することは適切であるとは言い難いです。
一方で、吃音の性質を理解してもらったり、自信をつけてもらうために「ゆっくり話すこと」を紹介することは一定の意義があると考えられます。
しかしながら、幼児の場合はこの「ゆっくり話す」感覚が今一つ伝わらない場合があります。
このため幼児の吃音者への介入には、動物のイメージを活用した発話モデリングが手技としてあります。
解説
ぬいぐるみの動きをメトロノームに見立てる
机上にて、坂に見立てた板をぬいぐるみがゆっくり下ってみせます。
そのリズムに合わせて母音部を引き伸ばし気味に発話してもらいます。
このように、言葉で説明してもわかりにくい発話のペースを、ぬいぐるみを使って指導していきます。
亀の動きに合わせて
「亀はゆっくり動く」というイメージを活用して発話スピードを調整します。
亀のぬいぐるみをゆっくり動かしながら、そのスピードに合わせて発話してもらいます。
カエルのジャンプ
カエルのぬいぐるみをジャンプさせ、そのジャンプ1回に1音節発話し、リズムを調整します。
柔らかいぬいぐるみ
柔らかいぬいぐるみやだらんとしたぬいぐるみを使い、力の抜けた発話をイメージしてもらいます。
チョウチョのおもちゃ
チョウチョのおもちゃをひらひら舞って見せ、「軽く」発話することをイメージしてもらいます。
注意点
以上のように、何かをイメージしてもらう手技は幼児の指導には効果的です。
一方で、身体動作を含む指導は注意が必要です。
例えば、実際にトランポリンを跳びながらリズムをつけて発話するなどは、リズムをつけることには効果的かもしれませんが不要な随伴症状を促すリスクがあります。
参考資料
『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索
『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索