適応効果とは?
「適応効果」とは、同じ文章でも反復して読むと吃音頻度が減少する、という吃音の傾向の1つです。
適応効果は永続するわけではありません。
しかし適応効果を用いることで本人に話すことへの苦手意識を軽減できる場合があり、使い方が重要な手技と言えます。
解説
適応効果の実践方法
同じ文章を5~6回ほど読んでもらいます。
適応効果は一人で読んでも誰かと一緒に読んでも最終的な効果はほぼ同じと考えられています。
このため一人で読むか誰かと一緒に読むかは状況によって使い分けると良いでしょう。
何か流暢に話したい文章があってこまめに練習したいときは一人でやってもいいでしょう。
話すことに自信がなくて、まずは誰かと一緒の方が気が楽なのであればセラピストなどと一緒に読んでいいでしょう。
適応効果の効果
適応効果は数時間しか効果はもちません。
このため、何か流暢に話したい言葉があって適応効果を用いたいときは、反復練習するタイミングが重要です。
また、スピーチや発表など、何か流暢に話したいことがあったら紙に書いて反復練習しやすい準備をしておくと有意義でしょう。
ただし、吃音は「どもることはいけない」ではなく「どもりながらでも気楽に話せる」というスタンスが大切です。
治療法が確立されていない吃音において、「どもることはいけない」という価値観は往々にして自分を追い詰めてしまいます。
そして結果としてその不安・ネガティブな感情から吃音症状が増えてしまいます。
適応効果はあくまで小手先のテクニックのようなものであり、根幹には吃音とうまく付き合える心構えが大切です。
適応効果の意義
以上のように、適応効果に着目した反復練習は、一時的な効果にとどまるテクニックです。
このため反復練習の本当の意義は、非流暢性の変化を実感することで自信や話す楽しさといったポジティブな感情を促せる点であると言えます。
補足記事
参考資料
『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索
『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索