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吃音とタイムアウト
吃音について、どもったときに一旦話すことを中断すると吃音頻度が減少することがあります。
これは吃音における話し方の工夫の1つで「キャンセレーション(消去法)」と呼ばれます。
キャンセレーションはオペラント学習におけるタイムアウトが原理となっています。
解説
キャンセレーションとは?
どもったときに話すことを中断すると、吃音頻度が減ることをキャンセレーションと言います。
キャンセレーションにおける中断時間は2~3秒ほど十分です。
「吃音を隠したい」というネガティブな気持ちでのキャンセレーションはおすすめできませんが、前向きに切り替える気持ちで行う場合は有意義な手技の1つと言えます。
オペラント学習におけるタイムアウト
ある行動をある要因によって増やしたり減らしたりすることをオペラント学習(オペラント条件付け)と言います。
そしてある行動をやめて切り替えるために時間を設けることを「タイムアウト」と言います。
日常の中でも、「気持ちを切り替えるためにあることを中断する」というのはよくあることではないでしょうか。
例えば家族と喧嘩をしたときに、一人で部屋にこもって落ち着くというのは実生活におけるタイムアウトです。
吃音におけるキャンセレーションの手技は、このタイムアウトが原理となっています。
キャンセレーションを背景にした吃音の指摘や言い直し
キャンセレーションの原理を理解した上であれば、吃音に対する指摘や言い直しも有意義と考えられます。
どもる言葉や音が固定化されることがある一方で、吃音では言えたり言えなかったりするケースもあります。
言えたり言えなかったりする言葉については、一旦中断して言い直すことで言える場合もあるでしょう。
ただの根性論で吃音者に言い直しをさせることは不毛ですが、キャンセレーションの効果を理解した上での言い直しは働きかけとして悪くはありません。
補足記事
参考資料
『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索