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吃音療法のエビデンスレベル
吃音へのアプローチに関して、比較的エビデンス(科学的根拠)があるものは以下が挙げられます。
- マスキング
- GILCU(徐々に発話の長さと複雑さを上げる)
- リズム発話法(メトロノーム法)
- オペラント学習(オペラント条件付け)
- 環境調整
- 引き伸ばし法
これらはエビデンスレベルにおける「グレードC」に該当し、「行うことを考慮してもよいが、十分な科学的根拠がない」とされています。
吃音療法においてエビデンスレベル「グレードA(行うことを強く勧められる)」と「グレードB(行うことを勧められる)」はありません。
このことから、吃音治療が確立されていないこと、解明されていないことがわかります。
また、根本治療が確立されていない以上、セラピストは手技だけでなく吃音のある人に寄り添う姿勢の重要性がわかります。
たとえ吃音が治らなくても、吃音を理解し支えてくれる人がいることで、結果としてその人のQOLは向上します。
解説
マスキング
吃音を5~8割ほど軽減させる手技としてマスキング(80dB程度)があります。
手技は異なりますがDAFなどでも吃音は軽減される傾向にあります。
いずれも吃音が内的タイミングの障害であることに着目したアプローチです。
GILCU(徐々に発話の長さと複雑さを上げる)
リズム発話法(メトロノーム法)
オペラント学習(オペラント条件付け)
環境調整
引き伸ばし法
引き伸ばし法とは文字通り引き伸ばすように発声する方法です。
各語の子音を母音化し、各子音に適当な母音を加えて発声します。
歌では吃音が生じないという原理と通じるものがあります。
引き伸ばし法は吃音に効果があるものの、会話の自然度が低下するのが難点です。
補足記事
参考資料
『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索
『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索