吃音の手技・アプローチ

吃音のリッカムプログラムとは?|オペラント学習を用いた吃音アプローチ

公開日:2022年5月16日


 
 

リッカムプログラムとは?

 リッカムプログラムとは、吃音に対するアプローチ方法の1つです。

  • 正の強化
  • タイムアウト
  • GILCU
  • 家庭中心の支援


という4つの要素がポイントとなります。

 
 
 

リッカムプログラムの効果

 リッカムプログラムは年齢・性別・吃音の重症度いずれにも効果が左右されないと考えられています。

 つまり年齢に関わらず、男女に関わらず、重症度に関わらず対象にできるということです。

 ただし、家族歴は効果を左右する要因とされており、家族に吃音が回復した人がいる場合、軽減度合いも高いとされています。

 
 
 

リッカムプログラムの主な要素

正の強化

 行動主義心理学の分野においてオペラント学習(オペラント条件付け)というものがあります。
 「正の強化」はオペラント条件付けにおける要素の1つです。

 ある行動の頻度を増やすための鍵となる働きかけが正の強化です。

 流暢に話せたときに周囲から褒められると、それがポジティブな経験となり吃音が軽減するという傾向があります。

 吃音者が白々しさを感じないよう、また負担にならないよう、上手に褒めることが吃音支援ではポイントになっていきます。

 
 

タイムアウト

 タイムアウトもオペラント条件付けに関する用語になります。
 ある行動をやめるために、時間を置くという方法です。

 家族と喧嘩をしたときに一人で部屋にこもって頭を冷やすなどがその例でしょう。

 吃音におけるタイムアウトはキャンセレーション(消去法)と呼ばれます。

 吃音症状が出たときに2~3秒ほど話すことを中断することで、その後に吃音症状が軽減するケースがあります。

 
 

GILCU

 GILCUとは、「Gradual Increase in Length and Complexity of Utterance」の頭文字を取ったものです。

 直訳すると「発話の長さと複雑さを段階的に増加させる」といった意味になり、言葉通りの手技です。

  • 1語で答える
  • 2語で答える
  • 3~6語で答える
  • 1~4文で答える
  • 30秒から5分程度の朗読
  • 独り言や会話


などのように段階を踏んでいきます。

 
 

家庭中心の支援

 吃音は根本的な治療方法が獲得されていない言語障害です。
 このため、吃音治療の手技は訓練室から出ると持続しないとよく表現されます。

 吃音の支援には家族や家庭が大きな鍵となります。
 家族が吃音を正しく理解し健全に本人と接することが、吃音支援には不可欠です。

 
 
 

補足記事

 
 
 

参考資料

『吃音』(ICD-10)2018年7月15日検索

『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索

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