子供の判断力に貧困が及ぼす影響
何かがないという「欠乏」は人の無意識の判断力に影響を及ぼします。
例えば経済的に貧しい家庭で育った子供は、そうでない子供よりも硬貨の大きさを大きく感じるそうです。
価値観だけでなくその物の認識にまで欠乏が影響するという例と言えます。
解説
欠乏による物の見え方
海外の研究で、子供達にアメリカ硬貨(1~50セント)の大きさを感覚で答えてもらう実験があります。
これによると、貧しい子供の方が実際よりも硬貨を大きく答えがちであったそうです。
経済的に貧しい家庭の方がお金の価値自体を重く受け止めることは想像に難くありませんが、その見え方にまで影響があることは興味深い所見と言えます。
貧困とお金の見え方の関係
上記の実験の場合、「貧困な家庭はそもそも硬貨を見る・触る機会が少ないから間違ったのではないか」という可能性が否定できません。
このため追加の実験が行われています。
今度は子供達から見える場所に硬貨を提示し、目測で硬貨の大きさを答えてもらいました。
経済的に貧しい子供達はやはり硬貨を実際よりも大きく答えてしまいがちでした。
しかも、先述の想像で硬貨の大きさを答えてもらうよりも実際に見て目測で答えてもらうときのほうがより大きく間違っていました。
貧しい子供達は目の前に硬貨が呈示されたことでより強い欠乏を感じた可能性が読み取れます。
またこの実験の興味深い点は、
硬貨ではなくボール紙の円盤の大きさを推測する課題では、貧しい子もそうでない子も大きさを正確に把握することができています。
所見
これらの実験で興味深いのは、ボール紙と硬貨で目測の正確さに違いが出た点、それらに経済状況が関連しているであろう点、想像と目測でもその誤差が異なる点です。
欠乏によって人は対象の物に強く引きつけられ、それは無意識の判断力にも影響を及ぼすと考えられます。
お腹が空いていれば自然と食べ物に目が行ってしまい、好きな人がいればついその人に関連した話題に聞き耳を立て、お金がないとお金や儲け話につい意識が向いてしまいます。
家庭環境においても欠乏している物事によって子供の判断力にも影響が出ると考えられます。