思春期

自分をわかってくれる人はいる?|孤独の心理学

公開日:2024年5月30日


 
 

理解者の欠如態としての孤独

 人の孤独感は「共感」と「個別性」の考え方が大きく影響すると考えられています。

 孤独感の分類において、「自分が理解してもらえない」と感じる人は、人の個別性に気づけていない可能性があります。

 
 
 

解説

共感と個別性のバランス

 孤独感の類型化には下記のような2つの要因が考えられ、これらの組み合わせで計4つのタイプがあります。

  • 人間同士の共感は可能であるか感じるか否か
  • 人間に個別性はあると感じるか否か

 そして4つのタイプの1つであり、B型とされる「理解者の欠如による孤独」は、以下のような構成となります。

  • 人間は共感し合えないと感じている
  • 人間に個別性に気づけていない(人はみんな同じと感じている)

 
 

傾向や特徴

 「理解者の欠如」によって「孤独」を感じている人は、端的には「自分をわかってくれる人が世界のどこかにいる」と思っている状態です。

 人は誰しも大人になっていく過程の中で、「自分の感情や考えをそのまま理解してはくれない状況」に直面します。

 そういったときに人は他者と話し合ったり折り合いをつけるといったことが必要になってくるわけですが、そのためには「人はそれぞれが異なった価値観を持っているんだ」という個別性への理解が必要です。

 人間は共感し合えないと感じ、かつ人間の個別性に気づけていない状態の人は、孤独の中で「どこかにいる自分をわかってくれる人」を探してしまいます。

 自分に合った環境を探すことは大切ですが、人はそれぞれ異なった存在なので何から何まで同じというわけにはいきません。

 個別性に気づけていないゆえの孤独は、「どこかにいる自分をわかってくれる人探し」を繰り返してしまうことになります。

 
 
 

孤独感のタイプ分類

 
 
 

参考資料

石川満佐育(2020)『思春期の子どもをもつ保護者への支援―理論的背景とCOVID-19感染予防の状況下における対応―』(日本学校心理学会)2024年2月3日閲覧

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向井隆代(2010)『思春期の身体的発達と心理的適応―発達段階および発達タイミングとの関連―』(日本カウンセリング学会)2024年2月24日閲覧

山本ちか(2012)『思春期のタイミングと早熟・晩熟の影響』(学校法人滝川学園 名古屋文理大学)2024年3月3日閲覧

丸山真名美(1999)『思春期の心理的特徴と「いじめ」の関係』(心理科学研究会)2024年3月8日閲覧

落合良行(1974)『現代青年における孤独感の構造 (I)』(一般社団法人 日本教育心理学会)2024年3月9日閲覧

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