早熟・晩熟な子の抑うつ傾向
思春期の早熟・晩熟な青年を対象にした研究では、男子は晩熟・女子は早熟な青年が抑うつ傾向が高いと考えられてることが多いです。
思春期は身体の変化が大きな時期ですが、そのペースは個人差が大きいです。
このため周囲と比較し早熟か晩熟かといった「発達タイミング」も、その子の心理面に影響を与えると考えられます。
解説
男子
欧米の研究では、男子は晩熟な青年は低い自己像を持ちやすいという傾向が考えられています。
しかし研究によっては異なる結果も見られ、個人差は大きいと言えるでしょう。
低い自己評価は抑うつ傾向などに関わってくると考えられます。
第二次性徴はどちらかと言えば女子の方が先に始まります。
このため、晩熟な男子は「男女含めた同級生の中で身体発達が遅かった子」ということになります。
このような状況も晩熟な男子の心理面に少なからず影響を与えているのではという考えもあります。
女子
女子の場合、早熟群の抑うつ傾向の高さは有意差が見られます。
「いろいろなことに不満がある」「何をするのも面倒だ」「ふだんはなんでもないことがわずらわしい」「怒りっぽくなった」などの項目に、早熟群は中間群・晩熟群よりも該当する傾向があるようです。
また「なかなか寝付けない」「夜眠れない」といった生活リズムについても早熟群のほうが得点が高い傾向にありました。
思春期の早熟・晩熟による傾向
参考資料
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