絵本「おばけのバーバパパ」を小児発達学の側面からレビューします。
「おばけのバーバパパ」は何歳向け?
絵本は楽しんで読めれば何歳でだっていいものです。
その一方で、絵本の内容と子供の発達の背景を知っていると、より成長を促す読み聞かせができます。
ベストセラーであり様々なシリーズがある「バーバパパ」の中でもはじめの1冊である「おばけのバーバパパ」。
「おばけのバーバパパ」は何歳向けで、どんな読み聞かせ方がいいでしょう?
おばけのバーバパパはストーリー的にも視覚的にも楽しめて、年齢問わず幅広く楽しめる内容です。
それでも強いて挙げるなら、
「おばけのバーバパパ」のストーリー性をより楽しむなら4歳前後くらいに読み聞かせてみてはいかがでしょうか。
以下、もう少し詳しく
「おばけのバーバパパ」とは?(あらすじ)
形を変えられる不思議な生き物「バーバパパ」。
フランソワの庭で生まれたバーバパパでしたが、その大きさから一緒に住むことはできませんでした。
動物園や街を放浪するバーバパパ。
そんな中、自分の体の形を変えることを活かして街の人達を助けます。
みんなに感謝され一躍有名になったバーバパパ。
フランソワのお父さんがバーバパパ用のおうちを作ってくれて、フランソワと一緒に住むことができるようになりました。
「おばけのバーバパパ」の読み聞かせ方の解説
絵本に興味を持つ時期
個人差はあるものの、一般に子供は1歳前後から絵本に興味を持ち始めます。
しかしながら、この時期はまだ「絵を見る」「単に興味を示す」といった感じでまだ「読み聞かせ」かといえば微妙です。
子供が大人の語りを聞きながら、短時間であっても絵本を読むことができるのはいくつくらいからでしょう?
子供の発達を知る目安としてよく用いられる遠城寺式乳幼児分析的発達検査によると、
絵本を大人に読んでもらいたがるのは1歳半頃だそうです。
このように、1歳半ば頃から読み聞かせの習慣が芽生え始め、2~3歳になる中で本を読む時間が延びていきます。
バーバパパのストーリー性の理解
バーバパパは丸みのある形に顔がつき、色はピンクの1色。
子供でも認知しやすいデザインですね。
そんなバーバパパがいろんな形に変身する。
「おばけのバーバパパ」は幼い子供でも視覚的に楽しめる要素がふんだんにありそうです。
一方で、「おばけのバーバパパ」のストーリーはなかなか紆余曲折ありますね。
フランソワと一緒にいたいのに動物園に行かされたり、泊まるところもなく街をさまよったり。
津守式乳幼児精神発達質問紙によると、
お話を聞いて悲しんだり涙ぐんだりできるのは4歳半頃だそうです。
「おばけのバーバパパ」を読んで感動しないといけないわけではありませんが、
少なくとも4歳前後になるとストーリーにのめり込んで自分なりの感情を持つことができそうですね。
まとめ
絵本は自由に読んでいいものです。
字が読めなくても、親御さんが読み聞かせてあげれば充分楽しめます。
内容だって、その子なりの解釈で自由な発想を楽しめばいいのです。
だから絵本に対象年齢というものは厳密にはないのかもしれません。
大切なのは親子で時間を共有することです。
しかし一方で、どんな絵本をどのように読むか、どんな意図の下で読むかで子供の成長を促すきっかけになります。
「おばけのバーバパパ」はストーリー的にも視覚的にも楽しめて、年齢問わず幅広く楽しめる内容です。
そういう意味ではオールマイティーな絵本と言えます。
一方で、バーバパパ達の感情変化をより理解してもらうなら4歳前後くらいが1つの目安になるのではないでしょうか。
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参考資料
チゾンとティラー『おばけのバーバパパ』偕成社、1972年