「Reyの複雑図形」とは?
「Reyの複雑図形」とは、リハビリテーションや教育学の分野でしばしば使われる検査のことです。
「Reyの複雑図形」は文字通り複雑な図形を模写してもらう課題です。
これにより対象者の視覚能力や記憶力、筆記に関する運動機能などをみることができます。
「Reyの複雑図形課題」、「Reyの複雑図形模写」、「Rey-Osterrietの複雑図形」など呼ばれ方がいろいろありますが、いずれも同じ複雑図形を指します。
検査の意義
「Reyの複雑図形」は視覚機能の評価に用いられることが多い検査です。
目で見たものを正確に捉え、再現する。
これらは文字の読み書きをはじめ様々な日常生活の場面に関わってきそうですね。
また、目で見たものを覚え、それを再現するという視覚記憶の検査という側面もあります。
さらには、模写を通して手先の運動機能も見ることができます。
目で見た図形を紙に書いてもらうというシンプルな検査ですが、様々な機能を見ることができる興味深い検査です。
名前の通り、Reyさんが考案しOsterrietさんが代表的な採点方法を確立しました。
そのため「Rey-Osterrietの複雑図形」と呼ばれることがあります。
検査の実際
「Reyの複雑図形」は提示した複雑な図形を模写してもらうという形式で行います。
目の前に見本を提示してそれを同じように書いてもらう課題と、そのあとに見本がない状態で書いてもらう2パターンを実施することが多いです。
前者は模写、後者は記憶の側面を見ることができます。
このように「Reyの複雑図形」は実施方法が非常に簡便な検査です。
その場で書いてもらえばいいだけなので。
採点は書いてもらった図がどのくらい正確かを見ていきます。
「Reyの複雑図形」の採点方法はいくつかありますが、先述のOsterrietさんが考案した採点方法が有名です。
図形の模写のポイントを全部で18項目に分けます。
この項目をUnitとしています。
つまりUnitが18個あるわけです。
例えばUnit2は図の中心となる「大きな長方形」が書けているか。
この点について
2点:形態も位置も正しい
1点:形態は正しいが位置が不正確
1点:形態は不正確だが位置は正しい
0.5点:形態も位置も不正確
0点:認識不能あるいは欠けている
の5パターンで採点します。
1項目2点満点のUnitが18個あるので、全部で36点満点の検査になるわけです。
おわりに
一度見るとその意味不明な図形がおもしろく、検査をとる側も受ける側にも印象的な検査である「Reyの複雑図形課題」。
実施が簡便でありながらも非常に示唆に富んだ検査です。
その他の記事
参考資料
『Rey-Osterrieth複雑図形における構成方略の評価とその意義』(J-STAGE)2020年3月7日検索
『小学生におけるRey-Osterrieth複雑図形の模写の発達』(J-STAGE)2020年3月7日検索