障害者のIT支援、特に重度身体障害の方のIT支援において機器のスキャン方式による操作は重要です。
スキャン方式はその操作方法によりいくつかの種類があります。
補足記事:スキャンとは?
【オートスキャン方式】
フォーカスが自動で動いていきます。
操作者は任意のタイミングでスイッチを押し、選択していきます。
1スイッチかつ1種類の入力で操作できる方式です。
メリット
・少ない身体動作で扱える
・操作が簡単
デメリット
・操作効率が悪い
オートスキャンの速度は対象者に合わせて調整が必要です。1秒未満の速い速度で対応できる人もいれば、5秒前後必要な方もいます。
【ステップスキャン方式】
2種類以上の入力方法で行う方式です。
1つ目の入力でフォーカス移動、2つ目の入力で決定です。
スイッチを複数使ったり、長押しと短押しを組み合わせるなど複数の入力方法を持つ必要があります。
メリット
・使いこなせばオートスキャンより効率的に操作できる
・練習量が結果に反映されやすい。
デメリット
・可能な入力方法が2つ以上ないと使えない
慣れてくると、「フォーカス移動何回でこの選択ができる。」とパターンが頭に入っていき、速く操作できるようになります。
注意点は、スイッチの押し分けが難しい方はかえって疲労がたまり効率が悪くなる場合もあります。
オートスキャン方式との比較が大切です。
【符号化入力方式】
ステップスキャン方式の発展型です。
発展型なので、実際はスキャンの種類に入るか微妙なところですが。
せっかくなので今回の記事で取り上げたいと思います。
モールス信号のように入力の組み合わせで出力が決まります。
例えば、長押しと短押しで、長・長・短で「あ」長・短・短で「い」などです。
オートスキャンやステップスキャンに比べて高い知的能力が必要なスキャン方式です。
しかしそのぶん慣れれば動作効率は最も良いです。
メリット
・慣れれば作業効率が良い
デメリット
・知的能力が他のスキャン方式より必要
【まとめ】
どのスキャン方式にするかは、対象者の能力によります。
どれができるかも大切ですが、「できる」ことが必ずしも「適している」とは限りません。
ステップスキャンができるけれど疲労がたまってすぐ操作不能になるなら、オートスキャンが楽に扱えるかもしれません。
符号化入力ができるけど誤りが多いなら、ステップスキャンがいいかもしれません。
反対にオートスキャンが良さそうなお子さんだが、多少努力してもらいステップスキャンを獲得したほうが将来のためになる場合もあるでしょう。
柔軟にいろいろ試し、検討していきましょう。