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意思伝達装置(伝の心)はなぜ高いのか?
障害の等級や状況にもよりますが、
障害を持った方が補助金によって購入できるコミュニケーション機器に「重度障害者用意思伝達装置」があります。
申請が通れば本人さんはほとんど手出しがなくコミュニケーション機器を購入することができます。
しかしながら、その内訳をみると、
意思伝達装置って非常に高額な物が多いです。
この背景には制度上の難しさがあるのかなあと思ったり思わなかったりするというお話です。
意思伝達装置の価格と補助金の上限
意思伝達装置にはいろいろ種類があります。
そこで例として「伝の心(でんのしん)」という機種で考えてみます。
「伝の心」は平たく言うと障害者用の設定がされているパソコンです。
スイッチなどを使って、重度の身体障害の方でもメールやLINEなどの操作ができます。
で、この「伝の心」の価格は45万円くらいです。
高いですね。
話は変わって意思伝達装置の制度について。
障害者手帳の等級や所得状況などの条件を満たせば、障害を持った方は意思伝達装置を補助金で購入することができます。
意思伝達装置の補助金の上限は45万円くらいです。
あれ?
伝の心の価格は意思伝達装置の補助金の上限と同じ値段ですね。
これは偶然なのでしょうか。
伝の心の性能と価格
伝の心のハード
もう少し伝の心について見てみたいと思います。
伝の心はパソコンと伝の心のソフトがセットになっていて、ばら売りはしないことになっています。
伝の心の取扱店のホームページで確認すると、
伝の心のパソコンのOSはWindows 10です。
スペックとしてはメモリが4GB、CPUがCeleronとなっています。
比較としてわかりやすく、Windows純正のノートパソコンである「Surface Laptop 2」でみると、メモリが8GB、CPUがCore i5。
「Surface Laptop 2」の価格は14万円くらいです。
伝の心は45万円で、伝の心より数段スペックがいいパソコンは14万円くらいなのですね。
伝の心のソフト
本体のパソコンのスペックでみるとどう見ても値段が高い伝の心。
価格が高いのはソフトが高いからなのでしょうか?
伝の心は重度身体障害の方のためにスイッチを使ってパソコンを操作することができます。
マウスやキーボードを使えなくても、スキャン操作により1つのスイッチで文字が入力できるわけです。
類似したソフトで「HeartyLadder(ハーティーラダー)」というソフトがあります。
「HeartyLadder」も1つのスイッチでパソコンを操作することができるソフトです。
「HeartyLadder」はネット上からダウンロードしていろんなパソコンにインストールできます。
そして「HeartyLadder」は無料です。
なるほど、伝の心は高額ですが、1つのスイッチでパソコンを操作することは技術的にはそこまで難しいことではないのかもしれませんね。
まとめ
障害を持った方が補助金によって購入できるコミュニケーション機器に「重度障害者用意思伝達装置」があります。
意思伝達装置の1つに「伝の心」という機器があります。
伝の心の価格は45万円です。
偶然なのか知りませんが、
伝の心の価格は意思伝達装置の補助金の上限の金額と同じです。
その他の記事
参考資料
『「伝の心」(でんのしん):製品情報』(日立ケーイーシステムズ)2019年6月20日検索
『伝の心』(パシフィックサプライ)2019年6月20日検索
『Surface Laptop 2』(Microsoft)2019年6月20日検索