子供が言葉を覚えるときに親の視線を見るのはいつから?
子供が知らない言葉を聞いたときに、発言者の視線から言葉の意味を推察するのは20か月以降から見られると考えられています。
つまり1歳8か月頃から、親の視線の先を見て親の言葉が何を指しているか予想し始めるということです。
逆に言うとそれ以前は子供の注意の対象に配慮した言葉かけが発達を促す上で有意義と考えられます。
解説
視線の読み取りによる言葉の推察
人は新しい言葉を聞いたとき、その意味を様々な情報から推察します。
例えば子供が親と散歩に出かけていて、ベンチの上で寝ている猫がいたとします。
子供が「猫」という言葉を知らず、親が「猫だね」と言ったとします。
このとき子供は親が言った「猫」という単語が目の前の動物を指すのか、それともベンチを指すのか、ベンチに生き物が寝ている状態を指すのかなど様々な可能性を推察する必要が出てきます。
そして新しい言葉の意味を推察するとき、他者の視線が大きなヒントになります。
この場合、親の視線は生き物に向いていますから、「猫」という言葉は目の前の生き物の名前を指す可能性が高いと考えることができます。
日本言語学会の論文によると、このような指示物が何であるか推察する際に視線の情報を活用するのは生後20か月以降と考えられています。
子供の言葉の発達を促す関わり方
指示物が何であるか推察する際に視線の情報を活用するのは生後20か月以降、つまり1歳8か月以降と考えられます。
逆に言うと、(個人差はあるでしょうが)1歳8か月以前は親の視線の先を踏まえて言葉を推察することが難しいとも言えます。
これを踏まえると、
1歳半以前の子には、こちらが見ている物の言葉を伝えるよりも、子供が見ている物の名前を伝えてあげる方が言葉が入りやすいかもしれません。
子供の注意の対象を大人がうまく汲み取るような関わり方が有意義と言えるでしょう。
参考資料
『日本の子どもの初期の語彙発達』(日本言語学会)2023年9月30日閲覧