社会で円滑に生きていくためには知的機能や身体的能力だけでなく社会性が必要です。
暗黙のルールを知る、空気を読む、人の気持ちを察する etc…
これらはソーシャルスキルと呼ばれます。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)はアスペルガー症候群やそのほか発達障害、あるいはコミュニケーションが苦手な人にとって有効です。
【コミュニケーションでよくある失敗】
コミュニケーションにおいてよくある失敗が距離感を間違えることです。
コミュニケーションにおける距離とは、
物理的距離 = パーソナルスペース
精神的距離 = 親しさ
がありますが、今回とりあげているのは精神的な距離のほうです。
補足記事:パーソナルスペースとコミュニケーション
【精神的な距離感】
コミュニケーションにおいて距離感の失敗はありがちな例です。
距離感とはその人との親しさのことです。
距離感の失敗とは
距離が近すぎる場合と
距離が遠すぎる場合があります。
距離が近すぎるとは、
本当はそこまで親しくないのに親しげに接してしまうことです。
距離が遠すぎるとは
本来は親しいはずなのによそよそしいということです。
「空気が読めない」、「アスペルガーの傾向がある」など言われる場合、
どちらかと言うと距離が近すぎることが多いです。
【距離が近すぎる】
距離が近すぎる。親しくもないのに親しげに接する。
周りからしたら空気が読めない。暑苦しい。めんどくさい。などと思われることがあります。
コミュニケーションは本来、相手との関係性に基づいて適切な距離感で行われます。
「距離が近すぎる人」は、
人とコミュニケーションをとることは嫌いではありませんが、
自分と相手の関係性を適切に把握できていないのです。
【距離感】
親しい人とは気楽に接したり言いたいことを言えるものです。
少し雑な言葉や表現も許容範囲であったりします。
関係が薄い人とは基本礼儀良く接します。
会話は社交辞令が多いでしょうし、話題も真面目な内容が多いでしょう。
人は相手との関係性で自分の対応を変えます。
人との関係性は状況や過ごした時間で変化していきます。
相手との関係性を読みとり、適切な距離感をとることがコミュニケーションには重要です。
【あの人がいいからあなたもいいわけじゃない】
人は同じ人でもいろいろな面があります。
気楽に話している状況もあれば堅苦しくしている場面もあります。
状況によって異なるのです。
コミュニケーションが苦手な人は
同じ人でもいろいろな側面があるということに気づけません。
「この人はこういう人だ」と1通りの見方しかできないのです。
ある人が楽しいそうに冗談を言っていたら、
「この人は冗談を言っても怒らない人だ」と決めつけます。
本当はその人は仲の良い人と話しているだけなのにです。
他人同然のあなたと冗談を言い合えるわけではないのです。
それなのにあなたはその人に冗談を言って相手は困り、変な空気になります。
その人は仲の良い人とは気さくに接するかもしれません。
でもあなたがその「仲が良い人」とは限らないのです。
あの人がいいからあなたもいいわけじゃないのです。
【その人だから許される】
その人だから許されるということが世の中にはあります。
そういう人は、
日々の繊細なコミュニケーションを積み重ねている人達です。
人との距離感や人との関係性を毎日少しずつ着実に積み重ねている人達です。
反対に、別の人だと大丈夫なのに、同じことでも
あなたがすると怒られることがあります。
でもそれは不公平なことではないのです。
日々のコミュニケーションの質が、そういう結果を招いているのです。
【二人の関係性】
あなたと相手の関係性を振り返りましょう。
二人の関係から考えて適切な距離で接しましょう。
相手とあなたは、
知り合ってどのくらい経つでしょうか?
どのくらいプライベートな時間を過ごしたことがあるでしょうか?
お互いにどのくらい共通したことがあるでしょうか?
あなたと相手は年の差はどのようになっているでしょうか?
相手が年上なら敬意をもって接さなければなりません。
相手が年下でも相手を軽んじた態度はNGです。
相手は異性でしょうか同性でしょうか。
同性同士で話していた内容を異性のあなたが言うべきではないときがあります。
相手との距離感は、
相手がどんな人間かだけでは決まりません。
相手とあなたの関係性で決まります。
気さくな人間だからいつでも気さくに接していいわけではありません。
内気な人がいつでも口下手なわけではありません。
距離感は、
相手の性格×あなたの性格×互いの関係×状況で決まります。
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