療育とは障害を持ったお子さんに対して、医療・福祉・教育など様々な面から支援することです。
人的資本とはその人が持っている能力を資本、つまり財産と捉える考え方です。
例えば日本における大学進学率はおおよそ50%で、2人に1人は大学に行っています。
ではなぜ大学に行くのでしょう?
大学に行けば当然学費がかかります。4年間の生活費もかかります。
高校を卒業してすぐに働けば得られるはずの年収も手放すことになります。
大きな費用を払ってまでなぜみんな大学に行くのでしょう?
それは、大学に行くことで高卒よりも給料が高い仕事に就くことができ、トータルとして高卒より高い生涯賃金を得られると考えるからです。
大学に行くことで得られる知識が、技術が、学歴が、その人の財産となってその人の人生を豊かにすると予想されるから大学に行くのです。
知識や技術、学歴や資格はその人が持っている財産です。
これらはお金や物ではありませんが、確かに存在するものです。
これらを人的資本と呼びます。
教育の一つの意義は、人的資本を蓄えることにあります。
教育の意義はいくつかありますが、一つは人的資本を蓄えることです。
教育を受けることで、知識や技術、考え方を身につけそれを人生に活かせること。
教育の有用性を考えるならば人的資本がどの程度蓄えることができたかを考える必要があります。
例えば大学に行っても、高卒とまったく変わらない結果であればたくさんの学費と時間を費やすことに疑問が湧いてくるでしょう。
その教育を受けることで、その人の知識やスキルがどれだけ蓄えられたかを考えることは大切です。
療育についても同じことが言えるのではないでしょうか?
そのお子さんが療育を受けることで、どのような知識やスキルや思考力が身に着いたか。
そしてそれが将来どのように役立つかを考える必要があります。
その療育を受けることでお子さんの人的資本がどのように変化したかを考える必要があります。
例えば、療育によりお子さんのなんらかのADL(日常生活動作)が自立すればそれは将来に大きく役立つでしょう。
発達障害のお子さんなら、場面の切り替えや変化への適応方法を模索することで将来の役に立つかもしれません。
例えば療育を行うことでその子が将来社会に参加でき、仕事に就くことができれば経済的に自立できます。
それはその子自身だけでなく、社会にとっても大きなプラスとなります。
教育同様、療育においてもその子の財産となる何かを与えるきっかけにする必要があります。