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特別支援学校か特別支援クラスか
特別支援学校に行くか、特別支援クラスを利用するか。
これらを決める上で明確な数字上の基準はありません。
例えば「IQ○○以下なら支援学校」という一律の目安はないわけです。
そのため各々がその子の様子を見ながら決定していきます。
教育はその子自身や親の気持ちが尊重されてしかるべきです。
一方で、現実の傾向というか目安はどうなっているのでしょうか。
どのような子は最終的に特別支援学校に、どういう子は特別支援クラスに籍を置くことが多いのでしょうか?
あくまで目安ですが、
その子のコミュニケーション面の発達年齢が3歳前後の場合、特別支援学校を利用する可能性が出てくると考えます。
特別支援学校か特別支援クラスかと考える
特別支援学校に行く子
特別支援学校は特別支援クラスよりも、支援が濃厚になります。
ではどのような子が特別支援クラスではなく特別支援学校を利用するに至るのでしょうか。
一概には言えませんが、特別支援学校を利用する背景の多くは学力それ自体ではなく、集団行動といった生活面での支援の必要性です。
授業中席について静かに学習できるか。
先生の指示に従って移動や活動ができるか。
トイレや給食、着替えなど日常生活の動作が自立しているか。
こういったコミュニケーション面や生活面の状況が大きな分かれ目となります。
逆に言うと、こういった集団行動が可能であれば、多少勉強に困難さがあっても支援クラスでの教育が可能です。
濃厚な支援が必要と考えられる集団行動の発達レベル
このように、特別支援学校に就学するか特別支援クラスを利用するかの決め手は、単純な学業ではなく集団行動や生活面の状況であると考えます。
ではどのくらいのレベルの集団行動・生活動作が難しいなら特別支援学校を利用したほうがいいのか。
これもご多分に漏れず一律の基準はありません。
しかしながら、目安としては(知能ではなく)コミュニケーションの発達年齢が3歳前後であると、普通小学校や支援クラスでの集団生活が難しく、特別支援学校への就学が視野に入ってくるのではと考えます。
コミュニケーションの発達年齢が3歳という意味
端的に言うことになってしまいますが、コミュニケーションの発達年齢が3歳前後ということは、集団行動の発達が保育園や幼稚園の年少さんかそれ未満ということになります。
保育園や幼稚園は多くの子にとって集団行動を形成していく初めての時期です。
この時期の集団行動を踏まえ、就学後のより複雑な集団生活を子供達は経験していきます。
集団行動において、コミュニケーションの発達年齢が3~4歳以上か否かは大きな意味を持ちます。
例えば順番を守ったり、物を友達に貸してあげたり、大人の言いつけで何かを我慢したり。
こういった言動は3歳頃から獲得されるコミュニケーション能力です。
こういったことが獲得されていない場合、先生が目を離せない時間がかなり長くなります。
また子供が何かイタズラをしたり問題行動があって先生がそれを指導したり怒ったりした場合。
子供がそれを理解できない・ぴんとこないということもあります。
ゆえに同じ行動を繰り返してしまう可能性があります。
こういった背景から、支援クラスや普通クラスで学業を行うことが本人にとってもストレスになる場合があります。
以上のように、その子の集団行動面の発達が困難な場合、マンツーマンに近いかたちで濃厚な支援を行ってくれる特別支援学校のほうが適切である場合があります。