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VFができないときの摂食嚥下評価
摂食嚥下障害の評価において
設備などの理由によりVFができない場合は、
VFとの相関を研究された検査を中心に、標準化されたスクリーニング検査を組み合わせて評価していくことになります。
それらがVFを完全に代替できるかというと難しい面がありますが、できる範囲で最大限客観的な評価を行えるのもセラピストの引き出しというか腕前の1つだと思います。
いつでもVFができるわけではない
摂食嚥下障害の評価においてVF(嚥下造影検査)は非常に重要な検査の1つです。
特に胃瘻造設手術などが関わる場合は厳密な嚥下評価は必須と言えます。
一方で、摂食嚥下障害の方がいる医療施設や福祉施設の全てがVFを実施可能かと言えば難しい現状があります。
院内でVFの実施が難しい場合は他の医療機関を受診することになりますが、そういったことが常に気軽にできるかといえばこれも難しさがあります。
いずれにせよ、
VFをすぐに実施できるわけではないけれども、摂食嚥下障害の評価をしないといけない
という状況は少なからず出てきます。
こういったときに、言語聴覚士や看護師、介護士などが連携してベッドサイドや食事場面ででできるスクリーニング検査を行うことが必要になってきます。
摂食嚥下障害の評価方法
全体的な評価
包括的な評価においては例えばVFとの相関も研究されているMASAを用います。
実施には摂食嚥下障害の知識が比較的必要であり、言語聴覚士や摂食嚥下に特に詳しい看護師などが必要かと思います。
またFILS(藤島の摂食嚥下状況のレベル)などによりその人の食事状況を把握しておきます。
もしも包括的な評価を実施しつつも、MASAより簡便なものがいい場合はKTバランスチャートなども候補に挙がるかと思います。
補足としての機能評価
MASAなどの包括的な評価と併行して、食事に関わる機能をそれぞれスクリーニングしていきます。
食事形態の評価
その人にどのような食事形態の食事を提供すべきか。
食事形態の直接的な評価としてはGUSSなどがあります。
ただし日本文化に即していない面もあるのであくまで参考とし、最終決定は専門家の判断も合わせましょう。
対象者が重症心身障害児者である場合は、「発達期摂食嚥下障害児(者)のための嚥下調整食分類 2018」などガイドラインも参考にします。
参考資料
『摂食嚥下障害の評価 2019』(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)2020年8月3日検索
『認知症のアセスメントにおける認知機能検査の意味と課題』(認知神経科学会)2020年8月8日検索
『長谷川式簡易知能評価スケール』(日本老年医学会)2020年8月8日検索