対象の永続性とは?
「対象の永続性」とは、対象物が(例えば布なのでおおわれて)見えなくても、そこに「ある」ことがわかる概念です。
私達は引き出しの中に入っている道具など、実際に目に見えなくてもその物がそこにあることがわかります。
物体がたとえ一時的に隠されて視界に現れていないとしても、それは「なくなった」わけではなく「見えていないだけ」とわかります。
このような概念を対象の永続性、物の永続性、対象概念の発達などと言います。
解説
対象の永続性の発達
「対象の永続性」は1歳前、0歳頃に獲得されてると考えられています。
対象概念の発達は認知発達における重要な基礎と考えられています。
これは感覚的にも理解しやすいのではないでしょうか。
物体が一時的に隠されても、それは「なくなった」わけではなく「見えていないだけ」とわかることが非常に重要であることは想像に難くないでしょう。
対象の永続性が未発達の場合は、たとえ興味がある物があっても視界からなくなるとその物を意識することが難しいわけですから、集中力や言外のやりとりに困難さが生じるでしょう。
対象の永続性の例
「対象の永続性」に関する例では、対象物を布で隠す実験が有名です。
乳児の興味がある物を布で隠し、それを探すことができるかどうかを見ます。
対象の永続性が獲得されていれば乳児は布の中から目当ての物を探すことができます。
一方で概念が未獲得であれば、そのような行動は難しく、他の物に興味が逸れてしまうでしょう。
この「子供が興味のある物を布で隠して反応を見る」実験はピアジェが行ったことで有名です。
また認知・言語促進プログラム(NCプログラム)など発達の評価ツールや検査などで用いられることも多く、子供の発達を見る上でのポイントとしてよく用いられます。
対象の永続性課題に失敗する場合
参考資料
『対象の永続性課題におけるカバーの効果』(一般社団法人 日本教育心理学会)2023年7月15日閲覧