ADHD(注意欠如・多動症)

ADHD評価スケールによる「気になる子」の分析

公開日:2022年12月28日

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ADHD-RSによる調査

 ADHDの診断に至らなくても、教育現場では落ち着きがないいわゆる「気になる子」がいるかもしれません。

 ADHDの傾向を客観的に評価できる問診表形式のツールである「ADHD-RS(ADHD評価スケール)」の調査を基に、児童の注意欠如および多動症の状況を見ていきます。

 
 
 

解説

ADHD-RSによる研究

 ADHD-RSの研究によると、ADHDの傾向がある児童は家庭版の問診表で7.5%、学校版の問診で21.6%見られたそうです。

 一般的にADHDの有病率は5%前後であると考えられているため、それより多い割合が検出されています。

 しかしこれはどちらかの調査が間違っているというわけではないでしょう。

 ADHDの診断の場合は複数の目と医師の判断があります。

 一方でADHD-RSのような質問紙・問診表は親や教師が単独で記入していきます。

 その子の身近にいる人単独の判断となると、より「気になる点」を挙げてしまう傾向は否めないでしょう。

 このためADHD-RSの研究では「単独の情報提供者」からの評価として家庭版7.5%、学校版21.6%は妥当であると考えられています。

 
 

年齢別の評価

 年齢別に見ると、以下のようになっています。

5~7歳で25.3%(学校)、9.1%(親)
8~10歳で23.8%(学校)、6.4%(親)
11~13歳で21.5%(学校)、8.3%(親)
14~18歳で15%(学校)、5.8%(親)

 このように、年齢と共に減少していく傾向があるようです。

 
 

内訳

 ADHD-RSの研究によると、ADHDの「混合型」「不注意優勢型」「多動性-衝動性優勢型」の3つのタイプの内訳では、「不注意優勢型」が割合としては最多となっています。

 DSMをはじめとした有病率の一般的な内訳では「混合型」が最多であるため、このあたりも親や教師、現場での感じ方の特徴と言えるかもしれません。

 
 
 

参考資料

『ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療』(厚生労働省「e-ヘルスネット)2022年11月19日閲覧

-ADHD(注意欠如・多動症)

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